鳥取での1日1庭園は、鳥取市街西のはずれにある観音院庭園です。
鳥取砂丘から観音院へは例によってちょうどいいバスがなく、本町1丁目バス停から15分ほど歩いてやっとたどり着きました。この日は気温も高く、歩いているだけで暑いくらいでしたが、観音院のあたりは山麓で自然も多く、涼しげで気持ちのいい場所です。
観音院は鳥取藩池田家の祈願所八ヶ寺の1つで、御本尊の聖観世音菩薩が、安置される壇が移るたびに大きな寺の御本尊となっていったことから「出世観音」とも呼ばれているそうです。お目当ての庭園は、藩主・池田光仲が1650年から10年にわたって作庭させたもので、借景の源太夫山の一部とともに国の名勝に指定されています。
庭園は書院から鑑賞します。一見無造作な感じを受けるものの、山の稜線を出すように築山を刈り込んで、借景と馴染ませるなど、地形を巧みに生かしつつ作庭されています。落ち着いていて品もあり、花が優しく引き立ついい庭園ではないでしょうか。滝石組に関しては、多少草木が延びつつあるようで、もう少しだけ石組をよく見てみたい気もします。
カメラを右に振ります。蓬莱式ということで、滝石組の前にある島が亀島で、灯篭の見える出島が鶴島とされているようです。築山の上には三尊石、手前側の突き出た石は池の前後をつなげていい緊張感を与えています。
今度はカメラを逆側に。さまざまな要素がありながら、池の奥行き感に加えてバランスの良さを感じます。
紅葉の時期も見事だそうですが、この時期は画像のように美しい睡蓮が咲いて、浄土さながらの景色が生まれます。
観音院庭園の拝観料は一般で600円ですが、このようにお菓子とお抹茶がいただけます。ちょうどお茶したいと思っていたところで、素晴らしいタイミング。
ふと振り返ると、書院の棚には明治から昭和にかけて活躍した地元出身の日本画家、河村芳舟の絵がいい感じで施されています。
ほかに見学の方がいなかったので、贅沢にも庭園と絵画をひとりじめ(ふたりじめ?)にして、ゆっくりお茶をいただきました。
観音院庭園を堪能した後は鳥取駅に戻ってランチ。駅の近くには画像のような土蔵造りの建物が並んでいるところがあり、ちょっとした鳥取のシンボルとなっています。
中は「鳥取民芸美術館」だったり「たくみ工芸店」だったりしますが、一番右の建物が「たくみ割烹店」で、お手頃なランチが食べられます。
自分は「島根和牛」に目が眩んで「島根和牛みそ煮込みカレー」に、かみさんはいわゆる日替わりの「たくみ定食」にしたところ、これがカレイの煮付け定食で、つまりどちらもカレーに。
レトロな店内には文化系の本が数多く置かれ、スタッフの愛想も良く、肝心の食事も美味しくて量も多く、いい旅の締めになりました。
帰りは飛行機のため「鳥取コナン空港」に向かいます。この空港名をはじめ、お隣の米子は「米子鬼太郎空港」、そのさらに隣は「出雲縁結び空港」と、山陰の空港ではミドルネームが流行りなんでしょうか。「縁結び」はともかく、「コナン」や「鬼太郎」はちょっと馴染みにくいかもしれません。
今回初めて機内から自宅が確認できました。日頃Googleマップの航空写真を見慣れていても、実際どこかを把握するのは結構時間がかかります。これまでも通っていながら気づかなかったのかもしれませんが、今回はバッチリ。ただ、結局家に着いたのは上空を飛んだ4時間以上後というのはトホホですね。