今回の庭めぐりのトリ、五つ目は真正極楽寺、通称真如堂の庭園です。
永観堂から白川通に出て、真如堂へは東側から入りますが、この段階での急坂、そしてとどめの石段が運動不足には堪えます。
立て看板を見ると結構な庭アピール、庭目当ての参拝客が多いんでしょうか。
境内に入ると三重塔が目に止まります。
江戸末期の建立ながら深い軒の堂々としたバランスで見応えあります。2018年の台風で屋根に損傷があったようで、修理用の足場も見えますが、このあと4月より覆われて本格的な修理に入り、10月には完了したようです。
さて、お目当ての庭園ですが、円通寺ばりの借景庭園があるとのことで楽しみにしていました。これがその「涅槃の庭」です。
1988年の曽根三郎による新しめの庭園で、その名の通り涅槃図の入滅がモチーフとなっていて、横たわるお釈迦様とそれを取り囲む弟子たちを石組みで表現し、白砂部分はガンジス川の流れを表しているそうです。
背後には大文字山を含む東山三十六峰が望め、期待通りの素晴らしい借景となっています。
奥の生垣が前後二重になっているのが珍しいですが、奥側のはどうなんでしょう、その形状からこちらがお釈迦様に見えてしまう気もしますし、背後の山並みが見えづらくなるうえに本来の石組の存在感を弱めてしまうようにも感じます。
竣工当時の写真を見ると手前側の生垣しかなかったようですし、やはり円通寺同様目隠しのためにやむなく作ったものでしょうか。
写真で入りきらなかった両端の様子、右側は上の写真、左側は下の写真になります。
味わいもあっていい借景庭園です。植治さんなどは借景に関して独特の考えをお持ちのようですが、自分はこういった庭園は好きで、ずっと眺めていられます。
庭の一角には写真のような石灯籠があります。一時期流行した燈明寺型のオリジナルで、1985年に現在は廃寺となった燈明寺より三井家経由で寄進されたそうです。(三井家は真如堂を菩提寺としています)石灯籠はまだ不勉強ですが、機会があれば色々と学んでみたいと思います。
真如堂には他に、重森千青氏によって2010年に作られた「随縁の庭」があります。そういえば重森三玲庭園美術館もここから近かったですね。意匠はいかにも重森一族らしいある意味期待を裏切らないものです。その形にも色々と意味が込められているようですが、元来、デザインはノーエクスキューズと教えられていることもあり、素で楽しめるのがまず大事です。
真如堂、相当楽しいお寺でした、できれば紅葉の時期にも来てみたいものです。
今回は御香宮神社から始まって知恩院、青蓮院、永観堂、真如堂とすっかり満喫したと同時に結構な距離を歩いて頭も足も疲れました。
というわけで、西へ歩いて「出町ふたば」で豆大福をお買い上げ。残りかなり少なくなっていましたが、無事に買えてよかったです。