京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

予想外に早まった雨とランチお預けで、だだ下がりとなったテンションを跳ね上げてくれたのが、この亀岡式御殿です。


入る前までは「ま、建物は大正のものだしお庭を楽しもうかな、建物内から見る分には雨も平気だし…。」くらいにしか考えてなかったんですが、いい意味で予想を裏切る展開が待っていました。

仁和寺の御殿は敷地内の南西の隅っこ、かつて宇多法皇の御所があった辺りにあり、御所から常御殿を移築したものが宸殿として存在していましたが、1887(明治20)年の大火で焼失。現在の建物は大正時代はじめに、霊明殿、勅使門などとともに亀岡末吉の設計によって再建されたものです。つい4ヶ月あまり前の2011年10月に登録有形文化財として登録されたばかり。

これまでは「亀岡WHO?」の状態でしたが、御殿参拝を機会に調べてみたところ、とことん細部意匠にこだわる建築家さん…と言うか、装飾バカなんだそうです。1907(明治40)年から京都府の古社寺保存事業に従事していましたが、修復に際して蟇股の意匠など、あまりに「作品」を作ってしまうことからのちに問題視されたりもしたようで、このへんの線引きは今でも難しいものですが、面白いですね。その点仁和寺の宸殿に関しては再建と言うか新築なので、存分にその手腕を発揮できるステージだったんじゃないかと想像され、喜々として勅使門の透かし彫りを描く姿が目に浮かびます。

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

さて、御殿入口を入ると、まずは「御室流」のいけばながお出迎え。

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

白書院から南庭を眺めつつ宸殿に向かいますが、回廊がとてもいい感じです。

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

宸殿から見た白書院。明治の大火後、仮の宸殿として最初に建てられた建物で、その設計に亀岡末吉が関わったかどうかは調べてみたんですが判りませんでした。むくりのついた屋根がありますがなんでしょう?

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

宸殿に入っていくと増々そこかしこに亀岡末吉の仕業が見て取れます。

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

そしていよいよお目当てだった北庭の登場ですが、これがまた想像以上に素晴らしいものでした。全体的に明るくて雅で、汀のゆるやかなラインがとても優しい感じで、こういう庭は好きです。五重塔の先がちょろっと見えるのもいいですね。
その手前の茅葺き屋根は、光格天皇遺愛の席と伝えられる飛濤亭という茶室で、残念ながら非公開ですが、このように一幅の絵のような景色を構成する役割を果たしています。

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

北庭は江戸時代中期の1624〜1643年頃に作庭され、1690年に加来道意、白井童松らにより改修されるも、1887年に火災により荒廃。その後大正の御殿再建に合わせて7代小川治兵衛(植治)が修復したと言われています。

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

こちらは内部一の間の様子。お隣の二の間、三の間よりも床が1段高くなっています。大和絵は原在泉によるもの。仁和寺御殿はこうして撮影も自由なのが嬉しいですね。

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

宸殿北面。

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

続いて黒書院、こちらは明治の焼失後、花園にあった旧安井門跡の寝殿を移して改造したものだそうです。

京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿

最後に薬師如来坐像をお祀りする霊明殿、画像ではよくわかりませんが、宝珠にいたるまで亀岡氏のデザインだそうです。亀岡末吉は残念ながら58歳とはやくに亡くなってしまいましたが、これらの手掛けた建物が長く残っていくと良いですね。その左奥には尾形光琳の屋敷「習静堂」から移築したとされる「遼廓亭」がありますが、「飛濤亭」と同じく残念ながら非公開。

というわけで仁和寺御殿、すっかりお気に入りの場所になってしまいましたが、これだけの場所、やはりお天気の日にもう一度来てみたいです。各建物ももっとじっくり見たいですし、雙ヶ岡から俯瞰した仁和寺の写真もとりたい、それに「梵」の湯葉丼も食べたいので、今回の旅で行けなかった大覚寺と一緒にまわることにしよう。


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京都庭めぐりの旅 ~ 仁和寺(亀岡式)御殿」への2件のフィードバック

  1. お邪魔します。
    仁和寺は高校生の修学旅行で行き
    拝見し・・
    かなり印象深いお寺でした。
    ワタシも機会があれば行ってみたいお寺の一つです。
    素適な写真をありがっとぅ~~♪

  2. こーゆーとこは季節はもちろん天気が違っても印象が変わってくるし、もう何度もいかないとダメね。いっそ関西に帰りたいわ。

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