流氷の旅3日目はいよいよオホーツク・クライマックスへ。
世界遺産の知床で迎えた極寒の朝、この日の気温はマイナス12.4度となかなかい〜い感じの冷え込みです。せっかくの冬の道東ですから、2ケタは体感したいところでした。それでも前日に比べたら2度ほど高いそうです。
夜のうちに雪が降ったようで、流氷に積もっています。この日は知床斜里ゆきのツインクルバスが朝7時半過ぎの出発、早々に準備して朝食前にチェックアウトを済ませます。
前日同様バスからの流氷の眺めは素晴らしいのですが、海から離れた後に見える斜里岳の姿にもまたウットリです。
バスに乗ること約1時間足らずで釧網線知床斜里駅に到着、下の画像は2日間にわたってお世話になったツインクルバス(ピンクの方)です。
知床斜里駅の駅舎は、2007年に改築されたようで、世界遺産知床の玄関口として相応しい出で立ちになっていました。
今日もスケジュールがタイトなのは相変わらずですが、バスが早めに着いたので、わきからホームを眺めてみると、すでに流氷ノロッコ号がスタンバイしています。
流氷ノロッコ号は、オホーツク海の流氷が望める知床斜里から網走までの37.3kmを、約1時間ほどで走る観光トロッコ列車です。創設以来26年の間親しまれてきましたが、諸々の理由から今季での廃止が決まってしまいました。この日は2月27日ですから、もうラストラン前日です。来年からは一般車両を使った列車を検討中とのことですが、おそらくその魅力は半減してしまうことでしょう。
50系客車改造の5両編成のうち、2〜5号車の指定席はこのように、オホーツク海側は窓を向いた座席となっていて、H.I.S.で確保されていたのも海側です。
SL冬の湿原号と同様、車内にはだるまストーブが設置、3号車には売店もあります。
いよいよ出発となると、駅員さんが横断幕を持ってお見送りをしてくれます。
大きめの窓から、サッポロCLASSICとホタテかまぼこを手に眺める雪景色は格別。北海道がギュッと詰まった網走プリンも濃厚で美味しかったです。全区間海がバッチリというわけではありませんが、キタキツネが走り去るのが見えたり、道東の冬が楽しめます。
流氷ノロッコ号は途中駅の北浜で約10分程度停車します。駅構内には展望台もあって、記念撮影やオホーツク海の眺めも楽しめます。
ところが流氷接岸初日にはびっしりだった流氷が、この日は沖に戻ってしまったのがちょっと残念、流氷見物のタイミングの難しさを物語っています。
意外とモダンな顔をしている流氷ノロッコ号、ホーム奥に小さいですが展望台が見えます。
北浜を出るとほどなく終点網走駅。あの、網走刑務所で刑期を終え、戻っていく元受刑者へ「この看板のように、横道にそれることなく、まっすぐに歩んで生きて行って欲しい。」との思い込めた…という縦書き看板が設置してあります。
ここからはバスで砕氷船乗り場へ、さすが流氷シーズンだけあって大変な人だかりのなか、2隻あるうち後発の「おーろら2」に乗り込みます。「デッキで眺めるのはどれだけ寒いんだろう」との心配は全く杞憂で、絶好の流氷見物日和、風もなく穏やかな海が迎えてくれました。
おーろらは夏場は知床で観光遊覧船として利用されており、20年前にも乗った懐かしい船。とても綺麗に維持されていて嬉しくなります。
出港時に遠くで帯のように見えていた流氷も、あっというまに近づき、見る間に取り囲まれました。船は流氷を割りながら進みます。
船内には売店もあり、いろいろとアナウンスしてくれるんですが、流氷に夢中でそれどころではありません、というか、いったん場を離れると、もはや戻ってこれなくなるんじゃないかというほどの混雑ぶり。もうちょっと定員を絞ったほうが「クルーズを楽しむ」にはいいと思いますが、季節ものだし、仕方ないですね。
遠くには知床の美しい山々が望めます。この流氷船で一番楽しみにしていたのは野性のアザラシを見つけることだったんですが、あいにくこの日はついに見つけられませんでした。それでも天然記念物のオジロワシはこのとおり。
流氷は年々減少していて、十数年後には見られなくなるという学者もいるそうです。
おーろらのウェブサイトに、過去5年間の運行状況を記した流氷状況一覧表というのがありますが、それを見ても確かにここ数年は厳しい状況に見えます。おーろらを知床から出すという案もあるとか。
オーロラファンタジーや流氷ノロッコ号も今季限りで寂しい話ですが、今日こうしてシッカリ見られたことに感謝です。
おーろら乗り場は道の駅流氷街道網走となっていて、食事もできるんですが、ここは網走の街を歩きます。今回は念のためスパイクを持参していたんですが、知床や網走の雪はまた札幌とも違ってほんとにパウダーといってもいい感じ。結局スパイクを使うことはありませんでした。
街の中心はアーケードつきの商店街があります、上の画像の交差点の50m手前左側の場所は以前寅さんが「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」で啖呵売をしていたところ。映画では季節が違ってももう少し活気があるように見えましたが…。
ランチは寿し安でいただきました。食後、網走駅までまた歩きましたが、駅手前くらいからドカドカ雪が降り始め、ちょうど見かけた流氷ノロッコ3号も画像のような感じで網走を出発していきます。
帰りの飛行機までは少し時間があるので、駅からはバスに乗って北海道立北方民族博物館へ、今ひそかにブームというアイヌのお勉強。
いい時間になったので、女満別空港へ向かい帰路につきました。2泊3日、なかなか慌しい旅でしたが、天気にも恵まれ、流氷もバッチリ見られていい「しばれ旅」でした。
帰宅後も流氷を楽しもうと買っておいたお土産がこれ、流氷飴。なかなか雰囲気あってよくできてます。