一乗山 大伝法院 根来寺

一乗山 大伝法院 根来寺

和歌山からフツーに帰るのもつまらないと思い、紀ノ川沿いに東進することに。


紀ノ川沿いに五條に出て、奈良を経由し、名阪国道で亀山に至る道は、距離で言うと新名神経由よりも短く、ほぼ無料区間で節約にもなるうえ、根来寺、粉河寺、五條の街並み、葛城古道など渋いスポットが点在するのがまた魅力的。

というわけで、和歌山ICで降りて最初に訪れたのは、現存する唯一の大塔を擁する根来寺。境内の中心から少し離れたところにある大門の脇を通って行きますが、この北側に広がる田んぼの土地は、かつて数千もの院坊があったといわれる根来衆勢力の名残だそうです。

一乗山 大伝法院 根来寺

大塔は、秀吉の根来攻めから逃れた境内東寄りにありますが、その大きさにまず圧倒されます。初層は15m四方で高さは37mの堂々たる塔は、なかでも初層屋根上に乗っかる白い亀腹に目がいってしまいますが、実はこの亀腹の上下方向のはみ出し具合がとても大事なんです。

大塔と言ってもそのジャンルは多宝塔に属するため、そのモチーフは上画像の右隅にある池上本門寺の多宝塔のような感じになるわけで、方五軒の初層は外陣ではなく、裳階の扱いとなります。なので、亀腹が多く露出していた方が元のモチーフをイメージしやすくなるというわけです。

じゃ、外陣はどこになるかというと、下の図のように裳階の内部にさらに円筒形の壁による区切りがあり、ここが外陣と定義づけるように柱は円柱で、さらに連子窓まで設置されています。

一乗山 大伝法院 根来寺

ただ、この円筒型の外壁と、亀腹は繋がっておらず、直接の関わりはありません。あくまでイメージとして構成されていて、亀腹の部分は言ってみれば張子のような構造で作られています。そして内陣は四天柱の内側になるというわけです。

大塔を近くで見ると軒の張り出しが尋常じゃなく、一体何手先まであるんだろうという組み物が圧巻です。4本のつっかえ棒のようになっている柱は、多くの古建築は軒が下がってきたときの処置として後から設置される場合が多いんですが、この柱はもとから付いていたそうです。当然ないほうが美しいと思いますが、これだけの張り出、仕方ないでしょう。

一乗山 大伝法院 根来寺

そうでなくとも、多宝塔の建築は相当な技術が必要とされ、この根来寺大塔にしても、70年近くもの歳月をかけて作られたそうです。容姿、技術力、希少性のどれをとっても、まさに一見の価値がある国宝文化財です。

一乗山 大伝法院 根来寺

隣には根来寺で最も古い大師堂があります。大塔とともに生き残った数少ない建物で、こちらは重要文化財。

根来寺は奥の院への参道と小川を挟んで西側にも本坊を中心とした建築群がありますが、こちらは後年、江戸期に復興したエリア。

一乗山 大伝法院 根来寺

それでもこの聖天堂がある聖天池は、平安末期の創建当初から存在するという根来寺の歴史を見続けてきた貴重なもの。いいロケーションなんですが、もう少し手入れが欲しいところ。

根来寺 本坊

根来寺 地泉式蓬莱庭園

こちらは紀州徳川家から拝領したという名草御殿の脇にある地泉式蓬莱庭園で、国の名勝に指定されています。滝石組や石橋など、瀟洒な感じがいいんですが、こちらも残念ながらお手入れがちょっとおろそかな感じ。庭園はどうしても手入れを怠るとすぐに鬱蒼としてしまいますね。可憐な睡蓮がいいアクセントです。

一乗山 大伝法院 根来寺

根来寺のあとは粉河寺へと向かいます。紀ノ川沿いは大和街道、上淡路街道、無料の京奈和自動車道、そして農面道路が並行していますが、どの道がいいか迷います。

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