復活 薬師寺東塔

復活 薬師寺東塔

2009年より進められていた解体修理が無事完了。

2020年1月22日、ほぼ10年ぶりに薬師寺を訪れました。まだ5〜6年しか経っていないような感じが、あっと言う間に歳を取りそうでちょっとマズいです。

2009年からといっても、調査や素屋根の建設もありますので、実際に解体が始まったのは2012年の9月で、正味7年半といったところでしょうか。それでもこれだけの大物、解体修理となれば相当なことが解明できたはずで、いずれ出るであろう報告書が気になりますし、自分が古建築にハマったきっかけとなった唐招提寺金堂の修理ドキュメント番組と同様のものを期待したいところです。

復活 薬師寺東塔

今回の解体修理で「一体どうなるか」と注目していたのは下記の3点で、これらは当初それなりに施工の可能性があったように思います。

  1. 彩色がなされるか
  2. 連子窓が取り付けられるか
  3. 三重(一番上)の切り詰められた軒の長さが戻されるか

何も事前情報はなかったので、いきなりご対面となります。

復活 薬師寺東塔

左が修理前で右が修理後、つまり今回の修理コンセプトは現状継続といったところで正直ちょっと拍子抜け。ほとんどこれまでどおりの印象ですが、軒反りの変化だけでも随分シャッキリ見えるものです。

彩色は伽藍全体が赤いことや、先の平等院阿弥陀堂が彩色されたことから、ありうるかもと思っていましたが、そのままでしたね。

連子窓はないと独特の冷たい感じがして、まさに「凍れる音楽」なんですが、強度にも関わりますし復原の意図はあまりなかったのでしょう。

復活 薬師寺東塔

それでも拡大で見ると金属の補強プレートのようなものが新たに入っているようにも見えます。

三重の軒は以前何かの修理の際に30cmほど切り詰められたそうです。それによって全体のリズム感が少し損なわれてしまったようにも見えますので、個人的には戻して欲しい気もしていたんですが、かないませんでした。

復活 薬師寺東塔

このあたりも「元々はこんな感じだったんです」というサンプルとして西塔があるわけですから、そちらを見てくださいということでしょうか。仕様確定の経緯については、そのうち報告書で明らかになることでしょう。

復活 薬師寺東塔

いったん唐招提寺へ行った後、西側に広がる大池へ。若草山を背景とした眺めもめでたく復活、ここはどんな天気でも映えるような気がしますが、一瞬で意識が1000年遡るような感覚が好きです。すっかりいい気分で「酒楽市橋」で一杯引っかけて行こうかと思ったら水曜定休でした。

 

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