いざ、壇ノ浦 その十八「平等院鳳翔館」

阿弥陀堂の周りをぐるっとまわると背後にちょっとした丘がある。

その丘に切れ目をつけたような入り口が平等院ミュージアム鳳翔館への入口で、これが平等院に訪れたもうひとつの目的である。鳳翔館は、昭和40年に建てられた旧宝物館の老朽化により、栗生明氏の設計によって建て替えられ、2001年にオープンしたもの。ここに展示されている現在修理中の天蓋をはじめ多くの展示物ももちろん重要だが、この建築そのものもまた、とても素晴らしいものだ。

鳳翔館は建物の大半が地下になっているのが特徴で、その目立たないエントランスは、周囲の景観に配慮するという考え方が明確に示された部分である。入り口からのアプローチがまた素晴らしく、17mの壁の谷間を通り抜けるが、その壁面は杉板型枠の型になっており、打継ぎ目地を巧みに消す効果があるとの事だが、光の取り入れ方と相まって非常に厳かな空間となっているのが素晴らしい。これから悠久の世界へ案内されるような感じがしてくるではないか。

そして、地下の展示をすべてを見終わって、明るい地上部分に出てきた時には1000年の時空間を超えてきたような気分になる。この地上部分の空間デザインがまた秀逸で、条例による和風建築の義務づけに対する栗生氏の回答は素晴らしく、素材がガラスやスチールであっても、その空間に純然たる和を感じるのだ。
平等院はこの鳳翔館の完成によって、さらなる高み達したと言えるのではないだろうか。



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いざ、壇ノ浦 その十八「平等院鳳翔館」」への2件のフィードバック

  1. お疲れ様です!
    ミュージアムのデザインを拝見し、現代の素材・技術を使いながら時空を越えるデザインを表現された建築家はすごいなと尊敬してしまいます♪
    現代では田畑のど真ん中に周りの景色に合わない巨大な建造物がどんどん立つ中で、このような建築を見ると落着きます♪

  2. >>しょっぱーずさん
    館内の撮影がダメだったので外観ばかりの画像になってますが、中も素晴らしいです。是非一度足を運んでみてください。

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