何かに行き詰まったら唐招提寺に行くといい、そんなふうに思います。
奈良には法隆寺をはじめ、薬師寺、興福寺、東大寺と大寺がいくつもありますが、唐招提寺ほど優しく穏やかに迎えてくれるお寺はありません。どこにも代えがたいこの雰囲気、金堂の佇まいと、そこへ続く参道のせいでしょうか、どこかお寺と言うよりも神社のような気もしてきます。
唐招提寺に訪れるのは10年ぶり、金堂の解体修理からもう10年も経つんですね。前回は解体修理のドキュメント番組を見ていたので舞い上がっていましたが、今回は時間にも余裕があってじっくり見られます。
この威張らず、気取らず、静かに自分たちが訪れるのを待ってくれているような佇まいがあまりにも素晴らしい建物です。やはり8本の列柱が生み出す前面の空間が大きな役割を果たしています。
これは裏側に回ってみるとわかりますが、こちら側ですとちょっと普通。写真ではレンズの違いもありますが、建物が少し小さく感じます。
やはりこの列柱、そしてその上に組まれた組物が見事で、15尺(4.4メートル)もの軒の出を支えていますが、この柱を、翌日さらに詳しくみることになります。
前回のエントリーでも書きましたが、創建当初は屋根の高さが約2.5mほど低く、回廊も繋がっていたため、印象はかなり違っていたようですが、きっとそばに寄った感じはあまり変わっていないでしょう。
写真がないのが残念ですが、金堂は内部に安置された盧遮那仏坐像、左手の千手観音立像、右手の薬師如来立像いずれも素晴らしく、大きさと数の割に狭い感じがむしろ仲が良さそうに見えてちょっと良い感じ。
こちらは現存する唯一の平城宮の建物で、朝集殿を移築したものです。もっとも朝集殿は切妻でほぼ柱だけだったようですので、雰囲気は大きく異なります。以前はそんなことなかったのですが、今回はこうして写真を撮っていると「仏像は撮っちゃダメよー」と注意を受けるようになりました。
唐招提寺の建築たち。この先また1000年、祈りの場として残っていって欲しいです。