9月16日、FIAT 500S マヌアーレが納車されました。
人間50歳にもなると色々と逆算を始めるものです。2016年にフォードKAを手放すことになった時、それなりに自らのカーライフを逆算しながらフィエスタ エコブーストを購入したつもりでした。それでもなかなか思い通りにはいかないもので、DCTのトラブルにより3年半で手放すことに。
ここでは様々な「計算外」がチンクエチェントにつながっていった顛末を綴ってみたいと思います。
そもそもの計算外は2016年のフォード撤退でした。ただ、信頼していたディーラーがなくなってもなお購入してしまうほど、エコブーストには惚れ込んでいました。
フィエスタSTは痛快な車で、その性能には満足していましたが、ことデザインに関してはレベルの高さは感じるものの、それまでのユーノス500と比べるともう少しエスプリの効いた、ハッチバックで言うと昔のフィアット プントのような粋さが欲しいところでした。
その点エコブーストは実際に所有してみて、満足度は期待値以上で、走りを感じる粋なエクステリアデザインにブルーキャンディのボディカラー、動力性能、ハンドリング、居住性のどれもがハイレベル、逆にこれ以上の車は必要ないと思っていただけに手放すことが残念で仕方ありませんでした。
当時は家の大幅リフォームがあり、資金的にも苦しい時期でしたが、フォードの撤退さえなければ修理していたかも知れません。そもそもMTを入れていてくれればと悔やまれます。
エコブーストはそれまでのKAに比べてかなり大きくなり、妻にとってはその点は不便だったかもしれませんが、今後はSTとの2台体制でできるだけ長く乗り、STが維持できなくなったら、次は畑用に軽トラか軽バンでいこうと言うのが当時の構想でした。つまりエコブーストはファーストカーとして存続していく予定だったわけです。
結局エコブーストの早期離脱が2つめの計算外だったわけですが、3つめの計算外が早々にやってきます。
エコブーストの代わりに買ったマツダ2、海外誌での評価も悪くなく、ユーノス500以来のマツダ車に期待していたのですが、まったく楽しさに欠けるフツーのクルマで、恐らく信頼性以外はエコブーストを上回る点はないでしょう。でも信頼性も自分たちには大事なことです、多少モヤモヤするものの、慣れればまた変わってくるかもとフィエスタSTとマツダ2の2台体制で仕切り直しです。
前者が16年目に入っている不安はありますが、維持できなくなれば軽トラに交代する構想じたいはまだ継続していました。
しかし間もなく4つ目の計算外が訪れます、脱炭素社会実現のためのガソリン車規制です。
それが現実となるかどうかは置いといて、ガソリン車が使いづらくなるまで10〜15年、フィエスタSTの後継を買うタイミングが難しくなってしまいました。フォードがいない中でのSTを電気自動車世代まで引っ張るのは正直厳しそう、かと言って5年後くらいにガソリン車を買うのではもったいないうえ、電気自動車もまだまだ未熟な状況でしょう。
そこで、このタイミングで最後のガソリンMT車を買うのはどうだろう案が急浮上!となったわけです。
そうすると退場を余儀なくされるのはフィエスタSTということになりますが、タイヤ、ブレーキ、バッテリーが交換時期に来ていますし、そのほかについても節目のタイミングに近付きつつあるので、ある意味決断の時期かもしれません。次の車に楽しく個性的なものを選ぶのであれば、もう一台は信頼性の高い方を残すより仕方ない面もあります。
こうしてクルマ探しが始まったわけですが、この時はまだフィエスタSTの車検が切れる2022年5月までに決めればいいくらいの感覚でした。(中編へ続く)