サンライズで出雲市に到着後、最初の目的地は出雲大社です。
個人的に考えていた5大神社(伊勢・熊野・春日・厳島)も、これでついにコンプリート。
縁結びの神様で知られる出雲大社ですが、既婚者にはもはや意味がないかというとさにあらず、祀られる大国主神は医療や農業の神様でもあり、それぞれに従事している我が家には実はもってこいなんです。(え?
出雲市駅到着後、サンライズExpの撮影もそこそこに駅レンタカーへ。事務所には係員がひとりしかおらず、しかもかなりのんびりとした対応にちょっとイライラ。
少しばかり急いでいるのには実はワケがあります。出雲大社では13日より例大祭が行われており、特に今日は勅祭日で、天皇陛下よりの御幣物を運ぶ勅使様の行列が見られるんです。
勅祭日が旅の日程に重なったのはもともとまったくの偶然だったんですが、せっかくの機会を逃す手はありません。本来であれば少なくとも二の鳥居から参拝すべきところ、少しでも時間短縮にと古代出雲歴史博物館裏手にクルマを停めて、銅鳥居のわきから入ると、ちょうど目の前に行列が!
菊の御紋のはいった唐櫃も運ばれていきます。慌てて後を追い、伝達の儀式も拝むことができました。まさにギリギリセーフ。こういった場所での古式の衣装をまとった行列はまた格別、しかも正しいお役目を持ったものですし、是非とも見ておきたいものでした。
その後、ちゃんとお参りをしてから、大社造りの本殿などを見て回ります。2008年より始まった「平成の大遷宮」は、メインイベントである2013年の「本殿遷座祭」をもって一段落しましたが、引き続き摂社・末社の遷宮が2016年まで行われます。
桧皮葺の屋根もすでに落ち着いた色合いになっていて、いい雰囲気です。今回は、松ヤニやエゴマ油、鉛、石灰を混ぜた「ちゃん塗り」塗装が再現されているそうです。
ところで、八足門の前にある拝殿、1953年の焼失後に建てられ、最大の神社建築ともてはやされたそうですが、正直でかすぎる気がします。しかも今は遷宮に伴う仮拝殿も建てられているため、敷地内がややせせこましく、境内の空間的な風格がスポイルされているような感じ。拝殿自体は同じような場所に江戸時代からあったそうですが、それこそ平安や奈良時代まで遡った境内の配置は果たしてどうだったのか、気になります。
その拝殿にも大きな注連縄がありますが、よく写真に載っているバカでかいのはこちらではなく、神楽殿のほうにあります。たかが注連縄と言うなかれ、これだけでかいと確かに見応えがあります。
最初に端折ってしまった参道を戻り、こんどは西隣にある古代出雲歴史博物館に行ってみます。
ここでのお目当はコレ、2000年に境内で発見された宇豆柱です。杉の大木3本を束ねて直径約3mにもなる柱に仕立てたものの残骸ですが、調査の結果鎌倉時代のものと断定されました。この柱がどう使われていたかというと。
この巨大本殿の柱だったわけです。出雲大社本殿がかつて高さ16丈(約48m)の巨大で突飛な建築だったんじゃないかとは、かなり前から言われていたそうですが、宇豆柱の発見はそれを裏付ける形となったわけで、じつに壮大なロマンです。
本殿の模型脇には江戸時代の境内を表した模型もあります。江戸時代に入ってからの出雲大社造営は、お寺のような華美な要素が加わり、その後寛文の造営でも、コッテコテの一層華美な仕様になりそうだったところ、佐草自清という当時の神官の提言によって神仏分離のうえ、質素で復古的なものに落ち着いたそうです。
模型内には拝殿も存在しますが、今のような大きさではなく、きちんと本殿が主役になっているのがわかります。
島根県立古代出雲歴史博物館には、ほかにも画像のような圧巻の銅鐸、銅鉾コレクションをはじめ、数々の素晴らしい展示がありました。旅行の計画時にはこれほど素晴らしい内容とは思わず、あまり多くの時間を割り当てなかったのは失敗でした。後ろ髪を引かれる思いで博物館を後にし、お次は旧国鉄大社駅へと向かいます。