3月のまだ暗い早朝、自分はJRのとある駅におりました。
片手には指定券申込書、そうです、人生初の「10時打ち」チャレンジのためでした。ターゲットは寝台特急カシオペア号。
カシオペア号も北海道新幹線の開通時、あるいは現在発表されている10月までの運行が終了し次第の廃止が見込まれている列車です。北斗星と違って車両が新しい分、クルーズトレインとして今後も活躍するとは思いますが、数十万もする列車に乗れるはずもなく、また興味もなく、乗るならラストチャンス!というわけで、2度あることは…が少し形を変えて、富士以来30年ぶりのA寝台体験となりました。
じつはこの駅、1週間前にも来ていたんですが、着いたのは10時10分前、窓口で申込書を差し出してみたものの、他の希望者が先に来ていたそうで2番目、つまり10時から数分遅れの入力となってあえなく敗退。「10時打ち」は、まず10時キッカリに打ってもらうための権利を手に入れるところから始まっていたんです。
そしてこの日、先着の方がいないことを確認して申込書を提出し、ひとまず10時打ちの権利を獲得、一旦帰宅してまた10時前に駅に行きます。ここで行かなければならないかどうかは駅によって違うようです。
15分くらい前に到着してしばらく窓口脇で待機、3分前くらいに窓口に呼ばれ、入力が始まります。窓口の方は割と慣れているようで、テキパキと作業を進め、1分前くらいから受話器を持って時報を確認しつつタイミングを伺います。そして10時、彼の親指がボタンを押し込んで待つこと数秒、切符が出力され、無事カシオペア号のチケットをゲットできました。
じつは、ここでダメなら旅行も中止…という訳ではなく、近ツーのカシオペアツアーの事前枠で席は確保してありました。
カシオペア号のツアーは北斗星と違って、寝台料金の差額をはるかに上回るお高いものばかりで、とても利用できるようなものではありませんでした。でも、北斗星の定期運行が終了したためか、オフシーズンだからか59800円〜と安めのプランを発見し、早速申し込み。
ただ、ツアーは直前まで1階席か2階席か、禁煙席か喫煙席かがわからないだけでなく、同じ行程を個人で手配した場合よりも、15000円程度も高く設定され、その差額も宿を選べばもっと広がります。
たしかに個人で手配した場合、早割航空券のキャンセル料は裁判になる程高額で、そういった安心感ではツアーに分があるものの、個人手配より高額では「転売屋と変わらないじゃん」というのが正直な印象です。セットで何かしらのクーポン券があるとか、函館旅行時のJTBのように、空港からホテルまで無料で荷物を運んでくれるオプションがあればまだいいのですが、それらも全くナシ。
そこでツアーを保険としつつ、10時打ちに挑んだワケでした。ゲットしたカシオペアツインは希望通りの禁煙2階席。JRは工夫して1階席と2階席の差をできる限り少なくしていますが、北斗星が2度とも1階席だったこと、あと下図のように車体裾部分の絞り込みによって、2階席の方が床面積を広く使えそうなことから、なんとしても2階席を希望していました。それに7月に行われるカシオペアクルーズ、ツインは2階席のみ、つまりそういうことなんでしょう。
ツアーの方は帰宅後すぐに解約手続きをしました。じつはカシオペア号、1ヶ月前の発売当初はすぐ売り切れになりますが、これは席のほとんどを旅行会社が抑えてしまっているためなんだそうで、2週間前に売れなかった分を放出するため、繁忙期を除いて必ずと言っていいほど空席が出るそうです。自分たちの乗車日も、JRサイトの空席状況で確認したところ、最初「×」だったものが2週間前に「△」に、最終的には「○」になりました。ただし、放出されるのはどうしても喫煙席や1階席が多いため、やはり禁煙2階席が希望なら10時打ちが有効になります。
それにしても、1ヶ月前にならないと旅行が成立するかどうかも分からないのは実に不便です。3ヶ月、せめて2ヶ月前くらいから確保できるようなシステムが必要かと思いますし、入手方法もネット販売は航空機と比較してあまりにお粗末なのにもかかわらず、駅の窓口もどんどん減らしていて、使いづらいったらありません。とくに寝台列車は需要が少ないとか言う以前に、相当乗りにくい交通手段だったことを認識しないといけないように感じます。
ところで、今回のカシオペア号は上り、北海道への往路は航空機ですが、行ったばかりの函館、札幌以外で候補に上がったのは、タウシュベツ橋梁をからめた帯広と、旭山動物園のある旭川。タウシュベツ橋梁がこの季節少し離れた展望台からしか見られないのに対し、動物園は2週間ほどあるお休み前のギリギリ最終日に間に合うことから「これも何かの縁」と旭川2泊3日(うち車中1泊)の旅に決定しました。
昨年6月から1年と経たないうちの3度目の北海道、自分でもまったく予想していませんでしたが、先月末に迎えた結婚19周年記念ということで。ちょっとキリが悪いですが、20周年の時には北斗星はもちろん、カシオペアも乗れないかもしれないんですから。