大叔父思い出の能面たち

大叔父思い出の能面たち

きょう、我が家の宝物が増えました。


母方の祖母の弟にあたる大叔父(っていうんでしょうか)は、引退してから能面づくりをはじめ、訪ねるとよく作り方などを話しては、完成品はもちろん、製作途中のお面などを見せてくれたものです。「どうだ、よぅ出来とるだろう!」と嬉しそうな顔をしていたのを思い出します。

その後、「これをやろう」と、翁面を譲ってもらいました。当時学生だった自分に価値がわかるわけもありませんが、それでもこの翁面は、とても素晴らしいものに思え、2度の引越しがあっても、必ず良く見えるところに飾っていました。

大叔父思い出の能面たち

もともと祖父が戦死してしまったことや、祖母の隣に住んでいたことから、小さい頃好きだった歴史の話をしたり、近くの古墳探検などに付き合ってもらうなど、実の祖父のように感じていたように思います。

そんな大叔父が昨年亡くなって、遺された能面たちは”またいとこ”(大叔父の娘様)のところへ引き取られていったのですが、今回、とてもありがたいことに、ご厚意で分けていただけることになりました。しかも希望まで聞いていただいて、届いたのは全部で8つ。どれも素晴らしいものです。
能面のような芸術性の高いものが我が家に来るだけでも大変なことなのに、これらがみな大叔父の手によるものなんて、もう感激以外の何物でもありません。我が家でずっとひとりだった翁面も、賑やかになってきっと喜んでいることでしょう。

大叔父思い出の能面たち

そういえば、翁面をいただいてしばらく後のこと、「般若面が欲しい」とねだったことがありました。きっと当時は般若面がかっこいいと思っていたんでしょう。
大叔父は「般若面か、うん」と言ってしばらく黙っている様子。「般若面はあまり好きじゃないのかな?」と思っていると、「女面はどうだ、女面もいいんだぞ」と言うので「女面かぁ」と思いながらも「うん、欲しい」と答えました。

今でこそ、お面づくりの醍醐味はその難易度からも小面などの女面にあるんじゃないだろうかと思いますが、もっとちゃんと欲しそうに答えればよかったですね。大叔父は「よーし」と言ってましたが、もう少し満足のいくものができたら…という感じでした。

それから20年くらいでしょうか、女面も般若面もうちに来てくれました。どう飾るか考えないといけませんね。今後20年、日々眺めていくことで、いつか自分も引退後に同じように作れたらいいんですけども。

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