今年はどこも桜の咲きっぷりが良く、素晴らしいお花見ができたようですね。
地元の雄、小湊鐵道の沿線もここ何年かで1番の咲きっぷりに加えて、満開時期にはお天気にも恵まれたので、何度か足を運んでみました。(取材で)
里山トロッコ列車にとってはデビューから3度目の春、年間を通してもっとも賑わいを見せる季節を前に、北陸の製造元で点検整備を受け、今期運転が始まる約1週間ほど前に戻ってきました。
整備は機関車だけでしたので、搬入後はキハに牽かれて車庫へと向かいます。可愛らしいトロッコ客車ではなく、大型の車両2両を従えた姿もまたナカナカのもの。
SL”風”機関車ということで、デビュー当初はなんちゃって機関車と呼ばれたり、鉄道写真の有名な方に揶揄されたりしたものでした。気持ちは分からなくはないものの、SATOYAMAの案内役を務めるこの機関車にはこの機関車なりのコンセプトがあり、フォルムにも理由があるだけに残念に思ったものでした。
それでもこの石神の菜の花畑を行く素晴らしい「景色」を生み出してくれただけでも、代え難い功績だと思いますし、マスコミの紹介もあって、認知度もジワリとあがってきました。あとは長く走り続けることで、皆に可愛がってもらえる存在になってくれたらと思います。
というわけで、今年は定番の石神には行かなかったのですが、里見を中心に訪れました。小湊鉄道はどの駅もまさに花盛り。
写真は里見駅に到着する下り列車。こんな田舎の小さな駅に列車もホームも多くの人がいて、皆笑顔で手を振り合っているのは、なんとも和やかで癒されます。
この里見には、駅から歩いて7〜8分程度のところに与一郎桜と呼ばれる1本桜があります。
連なる桜並木ももちろん魅力ですが、じっくりと立ち姿を愛でられる1本桜もナカナカいいものです。バックの見晴らしがこの桜の特徴でしょうか。市原には姉ヶ崎の方にも有名な1本桜があるそうですが、まだ行ったことがありません。
里見から2つ先の月崎駅、チバニアンの観光需要を受けて、今年から里山トロッコも停車し、行楽の時期には駅員さんも再配置されるようになりました。ローカル線の無人駅は今や当たり前の光景となりましたが、やはり駅員さんがいるのは安心感があります。
里見駅のお隣、地元有志の方がライトアップを行う飯給駅には夜訪れました。停車中の列車は上総牛久〜月崎をクルーズ運転する里山トロッコ夜桜列車です。昨年より運転されていましたが、今年は満開ど真ん中の運転とあって、お客さんもきっと満喫できたことと思います。
そして今年は大きな話題がもう一つ、上総鶴舞駅に隣接する創業時に使われていた発電所の遺構前に、カフェ・カーによる珈琲ショップができました。
珈琲好きの方の間では割と知られているという金谷のエドモンズ珈琲さんの出店で、写真のような素晴らしいロケーションの中、美味しい珈琲が味わえました。小湊鐵道の創立100周年とかけて、樹齢100年珈琲というのがイカしてます。
上総鶴舞駅も無人駅ですが、このおかげで多くの方が訪れて華やかになり、廃墟同然だった鶴舞発電所とともに生き返ったように見えるほどです。
残念ながらカフェの営業は期間限定のため終わってしまいましたが、また行楽期にはぜひとも出店していただきたいものです。列車で訪ねる一駅一駅がそれぞれに個性を放っている…こんな楽しいことはありません。
ありがたいことにこのところ忙しくて、お花見に遠出などはできませんでしたが、かえって例年以上に充実して楽しめたような気がする春でした。