CDとの決別〜ハイレゾの台頭

さて、前回のつづき「なぜ今この時期にCDを処分したのか」です。

The Beatles Box USB

それは、LUMIX GF1の購入資金を調達するため…というのは冗談で、じつは「CDはもうなくなるな…」と思ったからに他なりません。なくなるということは、自分の財産が早晩二束三文になってしまうということで、「ならば売却できるうちにしてしまおう」というわけです。

「CDはなくなるかも…」と思ったのはこれまで3回ありました。
1度目は「CDのデータは年月が経つといつの間にか消えてしまう可能性がある!」と騒がれた時です。
確か20年とか30年とか具体的な数字まで挙げられていましたネ。実際そんなことがあれば困るなんてモノじゃないんですが、とりあえずそんな経験はまったくなく、いつの間にかスルーしてました。

2度目はiTunes Music Storeなどの音楽配信(ダウンロード)サービスが始まったとき。
CDがLPレコードにくらべて曲が多く入ることから、いつしか「アルバムコンセプト」なるものが影を潜め、曲単位で楽しむ流れになってベスト盤ばかりが売れる時代に。そこへ1曲からダウンロード可能なiTMSは、思いの他急速に浸透しました。
「HMV渋谷の撤退」もこのようなサービスによる影響が少なくなかったはずで、音楽配信サービスはいずれ主流になってくることでしょう。現在の圧縮音源メインからロスレスメインになってくると、なおさらCDを駆逐するかも…という思いは強くなります。(すでにこんなサイトもあります)

そして決定打となった3回目はちょうど1年前、「ビートルズBOX USB」が発売されたことによるものです。
まだ記憶に新しいことですが、EMIはビートルズ初のリマスターと銘打って、昨年9月にCD BOXを発売しました。その反響は大きく、自分も“初リマスター”ばかりに気を取られてMono Boxを入手(妻にプレゼントしてもらった)したものです。「初回限定」といいながらMono Boxを再プレスしたEMIの“ヤリくち”も話題になりましたね。
しかし、じつはいちばん衝撃的だったのは、3ヶ月後に出された「ビートルズBOX USB」でした。後から出された…ということからも分かりますが、このUSBセットがとんでもない高音質だったんです。CDというフォーマットを離れることで、44.1kHz/16bitの制限から解き放たれ、192kHz/24bitや、96kHz/24bitなどによる高音質、つまりハイレゾリューションが実現できたというわけです。あとになって調べてみると、ハイレゾの波はすでにあったようなんですが、自分はこのビートルズUSBでやっと気づいたというわけです。

よくよく考えてみると、オーディオメーカーの長年の悩みの多くはディスクの回転に起因するものだったんじゃないでしょうか。USBメモリのように回転を必要としないメディアが普及した今、読取りに回転が必要なうえ、16ビット制限のあるCDはもはやいらない子…としか思えないわけです。

音楽でも写真でも、デジタル技術はことあるごとにアナログと比較されて、その結果はこれまではアナログ優勢でした。でもそれは、アナログの土俵で戦わされてきたからのようにも感じます。ハイレゾやミラーレスが台頭しつつある2010年は、なんとなく「デジタルがデジタルの土俵を作って進みはじめた最初の年」のように感じます。そこで自分はデジタルへのつなぎ役だった「CDの降板」を決めたわけです。

かつてCDが普及してからもアナログディスクは残りました。だからCDも残ると言う意見があるのは分かります。でも、デジタルツール同士の世代交代では、古い方は残らないだろうというのが自分の見方です。さらに言えばCDは消えてもなおアナログディスクは残る、そう思ってLPレコードはこれからも大事にするつもりです。

AD

CDとの決別〜ハイレゾの台頭」への2件のフィードバック

  1. CDからUSBやダウンロードへ、
    USBの価格も下がり、スペック的にも申し分無いモノが手に入るようになると、そういう流れになってしまいますね。
    CDもLPのような流れになるかどうか判りませんが、どういう流れになるか興味深いです。

  2. >>しょぱーずどの
    お返事遅れましたー。考えてみると同じアナログ→デジタルの流れでも、ビデオテープってやつはレコードほど残ってないみたいですねぇ。結構コアな世界では根強いのかもしれませんけども…

しょっぱーず へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る