せっかくのレンタカー、島根半島西部を反時計回りで巡ります。
まずは、雲州平田駅の北、旅伏山麓にある康國寺を訪れることにしました。出雲周辺には、出雲流庭園と称される庭園が幾つか点在していますが、ここが一番よさげな感じでした。
そもそも出雲流庭園とは?と調べてみると、豪農屋敷の庭が原型となっているようで、平庭で飛び石を配した枯山水の様式を取り、その飛び石は、石臼などの人工石を据え、さらに母屋近くに蹲を置く…つまり、露地の要素を含んだ枯山水といった感じでしょうか。
康國寺もこの日はお茶会があるそうで、「バタバタしておもてなしできないので、拝観料はいただかなくて結構です」とのこと。
康國寺は、南北朝時代の1322年、孤峰覚明禅師を開山とし、当地の豪族であった康國公の寄進により建立され、庭園は松平藩7代藩主、松平不昧公お抱えの庭師、沢玄丹によって3年半の歳月をかけて築かれたもの…だそうです。(広報いずも)
日本庭園の代名詞とも言える「石組み」こそありませんが、丸い刈り込みと芝のラインが優美でやさしげ、それでいて華やかになりすぎず、素朴な印象を残しており、和やかで居心地のいい庭園です。
奥のため池は深い場所にあり、借景の山を含めた3D的な立体感覚はなかなか新鮮なものがあります。他の庭園を見ていないので、これが出雲流の代表かどうかはわかりませんが、出雲に来たら、是非立ち寄りたい場所です。
康國寺からは北上して十六島湾にでて、海岸沿いを西へドライブ。出雲大社とその周辺に行くだけならレンタカーは不要ですが、こういったスポットを加えられるのが車の利点。
そしてたどり着いたのが日御碕灯台、43.65mの高さは、石積みの灯台としては東洋一なんだとか。夕日のスポットとして有名ですが、結構雲が出てきてしまいました。ただ、この季節、日没を待っていると結構な時間になってしまいます。曇りのおかげでサッと次へ向かえると言うものです。
で、お次が夜の神社、日御碕神社です。伊勢神宮が昼を守るのに対し、夜を守るようにとの勅命を受けたそうです。下の本社と上の本社合わせて日御碕大神宮となり、どちらもほとんどが重要文化財。
こちらは下の本社ですがお寺のような優美な佇まい。神官佐草自清によって復古調に方針転換される前の出雲大社本殿は、このような感じで計画されていたそうです。これはこれで見ごたえがあり、とくに奥の本殿などは細部の意匠に目を奪われますが、確かに神社の雰囲気とは違っているかもしれません。
やはり出雲大社の遷宮に合わせてでしょうか。屋根も新しく葺き替えられたばかりのようで、美しい仕上がり。
日御碕神社の次は、また海岸沿いを南下して稲佐の浜へ。
パワースポットと呼ばれるだけあって、弁天島の佇まいが印象的でフォトジェニックな場所。ついつい引き込まれてバシバシ写真を撮ってしまいますが、どうも何か物足りない。ガイドなどの写真で見た弁天島はもう少し違った趣が…。
判りました!松の木がないんです。弁天島にはちょんまげのような松の木があって、より一層雰囲気を引き立てていたんですが、2012年に枯れて伐採されてしまったそうです。松は新たに植栽されたそうですが、いやはや残念。旅はどんどん行っておかないといけませんね。
曇天のおかげで後半スポットが早めに済み、松江への列車に乗るまでの時間に余裕ができたので、出雲市駅からほどちかい酒蔵に立ち寄ることに。酒蔵は富士酒造と旭日酒造の2件あり、まずは遠い旭日酒造さんから…だったんですが、蔵元令嬢の寺田さんじきじきにおもてなしをしていただき、話も盛り上がって画像のような有様。
結局お土産には改良雄町の生酛純米を購入し、2軒目には寄らず、急いで出雲市駅へ。ここから一畑電車に乗って宿のある松江に向かいます。
ホームで待っていたのは一畑2100系電車。京王時代のカラーそのままですが、「懐かしい!」と思うほど京王電車にはあまり乗っていませんでした。お隣の小田急なら死ぬほど乗ったんですけどね。一畑電車にはサンライズで出雲市駅に着いた時に買っておいた周遊パス「縁結びチケット」で乗車できました。