酒屋から松江城までは南へ1.3km、ちょっと暑いですが歩きます。
途中、李白酒造の古い建物があり、つい立ち寄りたくなりますがここはガマン。お堀沿いに武家屋敷などの立ち並ぶ情緒豊かな道を歩いていくと、小泉八雲記念館の向かいに「松江ごころ」という地元の名産品を扱う複合店舗があって、そこでも李白酒造のお酒は頂けるんです。有料試飲もありますが、そういうのはいつも決まって大吟醸、そこまで大吟醸に興味がわかない自分たちは無料のものをいただきました。暑かったので飲みませんでしたが、お燗もしてくれるのはありがたいサービスじゃないでしょうか。
堀川めぐりの遊覧船行き交うお堀沿いを戻り、お城へは北惣門橋から入ります。
松江城天守閣は、1611年に築かれた現存12天守のうちのひとつで、山陰地方では唯一のものとなります。ご多分に漏れず明治の混乱期に城内の三の丸御殿をはじめ各建造物が民間に払い下げられ、ことごとく解体。天守閣も競売に掛けられ、180円で落札されましたが、有志によって買い戻されて解体を逃れ、保存されることとなったそうです。
2基並んだ天守閣が特徴だったお隣の米子城は、対照的に民間払い下げ後、風呂屋の蒔となって姿を消すという悲しい運命を辿ってしまっています。
強固な野面積み…と、思いきや天守よりは打ち込み接でしょうか。松江城は築城にかかった5年のうち、3年は石垣積みに費やしたそうです。
いよいよ天守閣へ上がります。松江城は詳しくは知りませんでしたが、なかなか立派で堂々とした佇まい。一重の屋根が裳階のような感じで、下半分黒いのがなんとも無骨でかっこよさげ。
桐の階段は長い年月を経てテカテカになっており、いい雰囲気。柱は複数の木を束ねてかすがいで止め、鉄輪で巻いています。「木材を活かす」という点では、奈良や平安の建築に及ばないため、このように一見強固にみえても修復サイクルは短くなりがちで、維持が大変そうなところが少し残念。
最上階からの眺めは少々モヤっていましたが、屋根越しに見下ろすと、サラリーマン風の人たちが集っているのが確認できます。実はこの日、たまたま国の文化審議会で松江城天守を国宝に指定するよう文部科学大臣に答申がなされました…、つまり松江城天守が国宝に指定されることが確定した日で、後でわかりましたが、サラリーマン風の人たちはその発表イベントの人たちだったようです。
松江城天守は、解体修理のあった昭和30年より、長年にわたって国宝指定を打診し続けてきたそうですが、2012年、築城時期を記した2枚の祈祷札が見つかったことが決め手となったそうです。明治時代に解体から守ることができて本当に良かったですね。記念すべき日に訪れることができたのはラッキーでした。
今回の発表を受けて、この次の土日はこれまでの1.8倍の人が訪れたそうですが、宍道湖を挟んだごく近いところに松江城と出雲大社の2つの国宝。地域の活性化にも役立つんじゃないでしょうか。
サンライズ出雲もこれまで以上に取りづらくなりそうですが、いっそ出雲は単独14両編成にして、瀬戸は下関行きのあさかぜと組めばいいかも。