姫路に泊まった翌日、とても蒸し暑い中、圓教寺を訪れました。
姫路でお寺と言えば第一に挙げられ、水戸黄門でもこの地を通ると必ずと言っていいほどその名が出てくる圓教寺さんですが、たぶん参拝は初めてじゃないかと思います。なにしろ山道を歩くお寺さんなので、蒸し暑いのだけは勘弁だったんですが、車で帰省した時に訪れようと思っているお寺がズイブンと溜まっているので、ひとつずつクリアしていかなければいけません。
書写山は姫路市街の北に位置する標高371メートルの山で、圓教寺へは麓の駐車場からロープウェイに乗ります。”いち”お寺の参拝にロープウィがあるなんて、運営の心配をしたくもなりますが、軍師官兵衛の大河効果のおかげで、相当多くの人が訪れたようです。ロープウェイの車体にも官兵衛が描かれていますね。
山上の駅からはマイクロバスもありますが、ここは歩きます。一部を除いてたいした山道でもないんですが、この蒸し暑さは堪えます。これは仁王門で江戸初期のもの。
これが圓教寺のご本尊様がおられる摩尼殿。大規模な懸造りの佇まいに、つい見入ってしまいますが、これは昭和に再建されたもの。旧摩尼殿は大正時代の1921年にご本尊もろとも焼失、遺構や資料を元に旧摩尼殿にならった形で再建されたそうです。
摩尼殿からさらに山道を奥に進むと、THE 圓教寺の風景がそこに広がります。
映画「ラストサムライ」のロケ地としても有名ですが、大建築がコの字形に配置される事によって生み出された空間がかなり独特で、何やら圧倒的なものを感じます。
向かって左が常行三昧のための常行堂、右側が本堂にあたる大講堂で、正面が修行僧の寝食のために建てられた食堂。これら三之堂はみな14世紀の落雷で焼失した後に再建されたもので、すべて重要文化財に指定されています。中でも食堂は500年もの間一部未完成だったものを、1963年の解体修理を機に完成させたそうです。
45mにも及ぶ桁行15間すべてが2階建ての長大な重層建築は他に例がないらしく、蔀戸の配された独特の意匠と相まって強烈な印象を与えますが、この食堂だけは、内部を見学できますので、蒸し暑い中でもひたすら書写に明け暮れた修行僧たちに思いを馳せる事が出来ました。
圓教寺はさらに奥の院がありますが、護法堂などは残念ながら修復工事中。そのおかげで開山堂もちょっと隠れたような感じになってしまいました。1673年と江戸の建物らしく、菱支輪をはじめ装飾過多な趣です。
奈良の法隆寺や薬師寺のような伽藍もいいですが、この圓教寺のような山のお寺もいいですね。本来の空気感が感じられるような気がします。
書写山下山後は和歌山へと向かいますが、途中ちょっと寄り道する予定。