宿を氷見としたのは、まさに富山湾越しの立山連峰を見たいがため。
この眺めは美しいだけでなく、海越しに3000m級の山々が見られる場所は、世界的にも数少ない希少なものだそうです。
それに冬の氷見といえば氷見ブリ、とは言えあくまで帰省の”ついで旅”ゆえ、多くの予算は割けません。そこで選ばれたのがひみ番屋街ちかくの池田屋旅館さん。
ありがたいことに休前日割増や、お一人様割増のようなガッカリチャージは一切なく、1泊2食付きで8200円というのはじつに気持ちの良い料金設定。
決して綺麗というわけではなく、合宿所のようですが、不潔なことは全くないですし、風呂は小さいものの、すぐ近くに「総の湯」という温泉があります。また、駅からの距離が多少あるものの、ご主人が送迎してくださるなど、マイナス面がうまくリカバーされていて、利用しやすい宿ではないでしょうか。
そして何と言ってもここの目玉は豪勢な食事、百聞は一見に如かずということで、ドン。
イカの卵にイカの黒造り、氷見ブリを含めたお刺身、写真ありませんが氷頭なますのイクラ添えに骨まで食べられる氷見ブリ大根、全部食べられるカレイの唐揚げ、氷見ブリカマ、そしてアンコウ鍋です。お酒は高岡駅前で買ってきた富美菊、関東では羽根屋で有名な富美菊酒造さんの醸すお酒で、生酒なので残った分は大将にあげちゃいました。
氷見ブリには、氷見漁協や漁業関係者で組織される判定委員会で決定された期間中のみ「ひみ寒ぶり」として認定されるものがありますが、残念ながら今年は数日前に終了宣言が出され、通常の氷見ブリとなりました。それでも「ひみ寒ぶり宣言」じたい2年ブリだったそうで、状態も大変良いそうです。
脂ののったブリはちょっとゴリゴリしたり、重い時がありますが、氷見ブリはそんなことは一切なく、爽やかで良い香、すっかり堪能しました。
翌朝は早起きをしてひみ番屋街のある海辺へ。ここで富山湾の朝日を拝みます。上空、雲がかかっていますが、連峰には届かず、下側の堤防と相まって不思議な構図ながら、素晴らしい日の出を拝めました。
朝食後、大将に氷見駅まで送っていただき、氷見線で雨晴へ。駅近くのメジャースポットで氷見線をパシャリ。2両目はちょっと分かりづらいですが、忍者ハットリくんラッピング車両です。
振り向けば立山連峰が望めます。落ち延びる義経一行が雨をしのいだと言われる義経岩の脇からも1枚、女岩がうまく奥行き感を出してくれます。
思い切り望遠で立山連峰を引き寄せたくなるも、長く連なる連峰感が出なくなってしまうのが悩みどころ。朝方は逆光で連峰が薄めですが、なにしろ今日も素晴らしい快晴です。
ここで一度氷見まで戻ります。というのも、氷見から高岡まで快速「べるもんた」号を予約しておりました。
べるもんたは氷見線と城端線を走る観光列車で、フランス語で「美しい山と海」を意味するベル・モンターニュ・エ・メールというのが正式名称ですが、長いので「べるもんた」という略称が使われているそうです。
土曜日に氷見線、日曜日に城端線で運行されるので、土曜のこの日の日程にはちょうど良い、というわけです。快速なので、指定席券の520円だけプラスすれば良いのもマル。
車両はキハ40形の改造で、トワイライトエクスプレスを思い起こさせるグリーンに金帯を巻いたカラーリング。車内もなかなか凝っていて雰囲気も良く、井波彫刻が展示されるなどうまく沿線アピールをしているほか、車窓を楽しめるように海側の窓を大きくとって、座席も横向きとなっています。
車内には寿司職人さんがいて、注文すれば富山湾寿司をいただけるほか、地酒の飲み比べなどができ、列車の目玉となっていますが、ちょっとお高いのと昨夜十分食べたのでここは我慢。
べるもんたは途中眺めのいいところで一旦停止してくれます。一番最初の写真がべるもんた号から撮ったものですが、土日だけの臨時列車のおかげか、窓をとても綺麗に拭いていてくれるので、クリアに撮れるのが素晴らしい。
この美しい富山湾ごしの立山連峰の眺めも、見られるのは年間わずか50〜60日程度だそうで、しかもべるもんた号は土曜しか運行していないことから、こうして車内からハッキリ拝めるのは相当ラッキーなことだと、同乗のボランティアガイドさんが教えてくれました。
はじめ、もっと早い運行時間ならいいのに…と思っていましたが、なるほどこのくらいの時間(11時17分頃)になった方が日が回ってハッキリ見えるというわけです。おかげですっかり立山連峰の美しさに惚れ込んでしまいました。
さて、べるもんた号は高岡駅で城端線に乗り入れるための構内回送が体験できますが、その回送中に発車する城端行き列車に乗らないと、五箇山行き世界遺産バスに間に合わないので、泣く泣く高岡で降り、フツーに城端線に乗り換えます。