トヨタはファミレスだ(その2)

じゃあ、他メーカーはどうすればいいのか。それこそ創作料理屋を目指して欲しい。自動車は機械と言えども、まだまだ料理のように作り手の情熱や考え方が大きくモノを言う商品なのだ。

創作料理屋はファミレスのような大きな利益はあげられないかも知れない。しかしそれに携わる人間には意識が漲っており、その仕事に従事する人も、それを理解し購入する人もずっと人としての幸福を得られるはずだし、お金で買えない大事なものを後世に残していける。
例えば行きつけのレストランってある?と聞かれ、ファミリーレストランや、大型チェーン店を挙げる人は少ないだろう。やはりそれぞれに紹介したくなるような粋なお店を挙げるはずだし、そんなふうに紹介できるお店を持つ事自体、誇りに思うべき事だ。
あるいは、このような創作料理屋風のメーカーを夢物語と見る向きもあるだろう。たしかに簡単な事ではないが、あえてそういったメーカーを挙げるとすれば他業種ではあるが、アップルコンピュータが割と近い存在だろうか。もちろん不完全な部分もあろうし、御存知のようにシェアの話をすれば微々たるものだ。しかしこのメーカーからは世界を変えてやろうという気概が感じられるし、ユーザーもそれを感じ取っている。
クルマの善し悪しは、料理の味ほどには誰にでもすぐに判断できるようなものではないかも知れないが、日本の自動車メーカーのうち、とくにマツダやスバルにはこういったメーカーになってもらいたいものだ。日産やホンダはもう手遅れかも知れない。
ここで念のため押さえておきたいのは、ファミレスに利用価値がないというのではないということ。実際の話、出かけ先でどんな味を出されるかもも分からない店に入るよりも、味、サービス共にある程度の水準をキープし、駐車場も完備のファミレスの方が利用しやすい。それに、彼らにしたって商品を売るわけだから味も研究するし安全性を高めてもくるだろう。しかし、問題としているのは、それらが彼らの良心によってもたらされたものではなく、経済原理によってもたらされたものだと言う事なのだ。これは自動車における「安全」や「品質」も共通の感覚と言えるだろう。
例えば雑誌NAVIのダイナミック・セーフティ・テストを読んでいて思うのだが、「安全」ひとつとっても、アクティブセーフティが相変わらず3流のまま、エアバッグ、ABSなどのデバイス、ゴア、あるいは数値といった具合に、いわば記号性の充実ばかりを追及しているところに、トヨタの考え方が見え隠れしてしまう。ユニバーサルデザインにしても同様で、そんなことはデザイナーがきちんと仕事をしていればいまさら声高に言うべき事でもないはず。お粗末な中身をこういったことでゴテゴテ武装することは、まるでファミレスのハンバーグのようではないか。いや、ファミレスのハンバーグならまだいい、今のトヨタの流れを見ていると、そのうちただ目的を満たすだけの病院食やサプリメントのようなものになりかねないし、実際そんなようなものもある。要するにメーカー自身も身の丈と目的や意識に応じた業務展開を考え、棲み分けが出来る事を認識してもらいたいのだ。
自動車メディアにも言いたい。そろそろ全車種紹介する義理もないのではないか。美味いもの屋ガイドがファミレスの料理や、コンビニの弁当を紹介していないように、意識の高い自動車だけを選んで詳しく紹介する事で自らの雑誌の価値をあげるという方法も模索して欲しい。そうでない車種は月刊自家用車のような本か、GOODS紹介本に任せればいいのだ。もっともこれが行き過ぎると、「雑誌に掲載されてるものなんて…」という流れになってしまうわけだが…。
おわり

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トヨタはファミレスだ(その2)」への8件のフィードバック

  1. すみません・・・ファミレスに乗ってます(笑)
    うちのファミレス君、オイル交換に行ったらディーラーの人に
    「下もぐったら不具合を発見しちゃいました・・」
    と・・
    しちゃいましたってフレーズはどんなもんかと思いましたが(笑)
    フロントタイヤの車輪の軸がなんたらかんたらと・・・
    3万近くかかるそうです。
    来年は4度目の車検、あちこちお金かかりそうです。
    って・・・全然日記の内容と関係ないか(笑)

  2. うわっ、でたー(爆)
    買い換えようかなーってときの出費、痛いですねー。
    この際どーですか?新車。それもファミレス以外で選んでみては。

  3. なんかその通りですね。
    どうも惹かれるクルマがないんですよね。
    というか興味が湧かない・・・。
    自分一人が選ばなくても
    多くの人が選ぶから
    痛くも痒くもないでしょうが(^^;

  4. いまさらながら、私はフツーの人ではない、という事ですな。
    全人口ターゲットで及第点を狙って成功してるのはその通りだし、商業ベースで見た場合は王道を行ってる訳ですが、私にとっての満点ではあり得ないってところです。ま、500も購入当初は満点ではなかったんですが、今になってみれば500以上の次期候補が見当たらないんですわねぇ。
    食に対するコダワリは、多分人様よりちょっとだけ低いと思うんで、ファミレス全然オッケーなんですよ。車もこだわらなければトヨタ最高ですよねー。

  5. でたーっておばけじゃないんだから(笑)
    だんなはマツダ車に乗ってるけど、運転しにくい・・・。
    なぜなら、背のちっこいわたしは座席の低い(普通)の車は前があまりよく見えないので(笑)

  6. >創作料理屋はファミレスのような大きな利益はあげられないかも知れない
    まさに、ここですね。
    マスプロメーカーが生き残っていくには、一定以上の生産規模を持っていないと無理だと(年間500万台だったかなあ…?)言われ始めたのが15年位前で、事実その後、ものすごい勢いでメーカーの合従連合(というか整理統合)が進みましたよね。
    マツダも富士重工も会社としては残っていますがそれぞれフォードとGMの傘下企業になっているわけで、多少皮肉な見方をすると「だからこそグループ内でのブランドの棲み分けのために独自色が打ち出せる」のかもしれません。
    逆説的ですが、お陰でマスのマーケットシェアに汲々とせずにすむ、と言うか。
    そうしてみると、トヨタ同様に独立の民族資本でやっているホンダが、傾向としてトヨタと同ベクトルの路線 ―万人受けを至上命題とする― に進まざるを得ないのも、何となく判るような気はします。その意味で日産はどっちつかずですね。デニーズに対抗してジョナサン始めました、みたいな感じ。
     デニーズとジョナサンとロイホとどれが好き?てのも、まあいいですけど、僕はどっちかと言うと地元のちゃんとした仕事をする小料理屋がいいな~。

  7. でぃりぃさん&惰眠さん>>
    トヨタ自体は世の中には必要なんですよね。あとは他のメーカーがどうするかです。日産のジョナサンならまだマシなんですが、マツダはついにガスト…となるとちょっと…。
    mika>>
    で直したのかい?早く直さないと~うへへ。

  8. smartkaさん>>
    ふたたびようこそー。痛くも痒くもないっていうの、癪ですねー。
    キムタクなんか、トヨタに出ずに「は~んトヨタなんか乗ってるの?」なんてどこかの放送で言い放ってもらいたいもんです。

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