純米酒を極める

ボージョレー・ヌーボーの時期ですが、最近、日本酒をもっと知りたいと考えています。

木戸泉 純米原酒

千葉はいわゆる米所ではなく、わき水を連想する高い山もないことから、酒造りには向いていないと思われがちですが、なかなかどうして個性的な酒蔵が数多く存在しています。クルマなら4〜50分程度で行ける酒蔵がいくつもある環境にありながら、ただ飲むだけでは何とももったいない。立派な日本文化のひとつである酒造りを、ちょっと勉強してみたい…と思えば、美術や建築などよりはるかに身近に接することができるはずなんです。それに、350mlのビール1缶飲めるか飲めないか位の下戸が自慢の自分は、量が少なくて済む分いいものを飲みたいとは常々思っていました。

ただ、これから日本酒を知るにあたって、自分で買うのは「純米酒」に限定したいと考えています。
理由は、星の数ほどある日本酒の9割が醸造アルコール入りであると言われているので、純米酒にすれば自ずと的が絞れること。もうひとつは、上原浩氏が「純米酒を極める」で書かれていた「日本酒はそもそも米と水だけで作るもの」という意見に賛成だからです。氏は「醸造アルコールを否定するわけではないが、それは清酒であって、日本酒とは呼べない」と、酒造技術者の立場で述べていますが、自分はそれに加えて、日本酒造りの伝統的側面を尊重したいという考えもあります。

アル添のお酒は、言わば現代の建材や工法を用いて作った現代建築のようなものだと思います。今やほとんどの人が現代建築に住み、もはやコストや機能面では(伝統の)日本建築よりも優れている面が多いかも知れません。また、現代建築には現代建築の技術やノウハウもあるわけなんですが、そもそもアプローチが違うため、現代建築は日本建築の代わりにはなりませんし、日本建築には理屈ではない良さがたくさん残っています。
日本の伝統に基づいたものの多くは、現代のものに比べて視野が広くて普遍性が高く感じられます。世界最古の木造建築である法隆寺に代表されるように、自然の営みや景観と調和し、環境負荷も極めて低い日本建築には、その美しさから構造に至るまで数多くの技術があり、それらは金剛組や鵤工舎などでしっかりと受け継がれています。

これを日本酒に置き換えてみると、製造時においては環境への負荷が少なく、飲めば体への負担も少ないなどの違いがあるんじゃないか…などと想像できます。そしてそのための技術は純米酒を作り続けることで継続していかなくては途絶えてしまいます。新技術そのものは素晴らしいものが多いと思うのですが、これらは当初の目的と逸脱したモノになってしまうことが多く、広い視野を捉える感覚を駆逐してしまいます。

上原氏も「戦前までは考えられなかった手抜きが当たり前の風潮を生んでしまったところに、アルコール添加・三倍増醸酒を前提とした造りの、最大の罪がある」と書かれており、つまり伝統を守ると言うのはそういうことで、この伝統技術とともに日本酒を楽しんでみたいと思うわけです。さいわい、いい酒屋さんも近くにあるので、少しずつでも楽しめるようになりたいなと思います。

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純米酒を極める」への4件のフィードバック

  1. >>Marvoどの
    東灘さんはちょうど先日行きつけの洗車屋のおじさんに紹介されて、勝浦まで鳴海を買いにいきました。27日の朝10時半から見学を申し込んであるので、この時間に来られたら便乗見学できますよ!

  2. 日本酒に目覚められましたか…純米酒を極める!(蔵によったらアルコールを添加しても純米酒として売っている蔵もあるとか…杜氏同士の話にどれくらい入れたか…蔵人しかわからんよね…こんな話もあるとかないとか…)さて、こちらは酒都西条!駅の近くは酒蔵だらけで白壁の街並みと酒蔵の煙突がこれからの季節を彩ります!(10月には酒祭りがあり全国から20万人以上の人で埋め尽くされますよ!)安芸津杜氏の安芸津も近いし、ちょっと足をのばせば呉・竹原にも酒蔵が…でも、私は甲奴の瑞冠がお気に入り!日本酒を楽しんでくだされ( ~っ~)/

  3. >>ひまオヤジどの
    なにぶん飲める量が極端に少ないので、色々と知った方が楽しめるんじゃないかとおもいまして。西条は有名ですね、広島に行ったら地酒を試してみたいです。

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