Car

MAZDA MPV

先日、新装成ったMRYにて開催された、MAZDA MPVの技術展に出席してきた。

少々早めに着いたので、まだ人の少ない会場に入ってびっくり、通い慣れたMRYの姿はそこにはなく、ピカピカの内装に仕立て替えられていた。アテンザから始まった技術展も、既にその後にリリースされたクルマの数だけ開催され、それが社内的にも評価を受け、今後も継続的にすべく改装に至ったのであれば、それは歓迎すべき事だろう。この技術展を通して、ユーザーはよりクルマに愛着を感じ、開発者はよりモチベーションに繋がるのであれば、その意義は決して小さくないと思われるからだ。今回連れて行った腐れ縁のMさんも、女性でとくにクルマ好きではないのだが、デザイン専攻だった事もあるためか、なかなか楽しめたそうだ。
さて、そのMPVであるが、印象としては悪くない。今までのマツダ顔を大きく変えて来た縦目のスタイルは評価しているし、その顔も縦の流れと横の流れを割とうまく消化している。ただ、その縦目のスタイルが、「全高を低く抑えてはいるけれど、中の広さはアピールしたい、或はボリューム感は持たせたい」ためのものなら納得できるのだが、デザイナーは「ワゴンのようにはしたくないけれども、今までの箱のようなミニバンスタイルにはしたくない」と言っていた。その理由にこの縦目はちょっと逆なんじゃないかと、つまり結局「縦目なんか新しくていいんじゃない?」程度の思いつきなのかと思えてしまう。そのためかどうかは分からないが、いまひとつダイナミックさに欠け、茫洋感が漂う。相変わらずテンションの弱いサイドパネルもその一因だろうか。
小生は今、ダイナミックさに欠けると書いたが、このMPV、ここまで大きくなると、今は亡きマツダのラインナップ、ルーチェ/センティアあたりの役割も担う事ができるのではないか。そうするとやはり狙いを変えて、もっと質感や上品さのあるクルマでもよかったように感じてしまう。ただし、今のままでもキャラクターとしては決して悪くないところにいると思う。
メカニズム的な話は、まあ小生もあまり詳しくないし、単純に素晴らしい性能があるように感じた。しかしそれには「今は」という注釈がつく。こういった数値上の性能に関しては当然あとから出るクルマの方がいいに決まっている。プレゼンテーションでは、例え4代目MPVが出ても、胸を張って乗り続けられるクルマにするために何をしているかをもっと聞いてみたい。少なくとも初代MPVにはそう言った要素もあったはず。
ちょっとクルマそのものの評価とは離れるが、こういった2トン近くのクルマが「重さを感じさせない走り」をしてしまうのはどうなんだろうか。いや、そうでなければ商品として成り立たないのは分かる。しかし燃料の資源問題や、衝突エネルギーなどを考えると、このような巨大なクルマが街にあふれ、皆スポーツしているところを想像するとひたすら恐ろしい。しかも「とても素晴らしい」音響サラウンドでDVDを大音響で聴いたり観たりしながらカッ飛んでくるのだ。そろそろこのあたり、自動車メーカーの良心を見せて欲しい。
良心と言えば、開発者の話で「7名や8名を乗せて出掛ける事は、確かに年に1回や2回かもしれないが、それが大切な思い出作りになる(だから8人乗りにした)。」ような事を言っていた。しかし小生からすれば、ホントに年に1~2回であとは空気を乗せて動くのなら、その1~2回はもうそろそろレンタカーにしてもらいたいと思う。直面している環境と言う問題に対して、排ガス規制をクリアしていればOKというような単焦点的なやり方ではなく、もっと社会的な角度から考えていけるような、思いやりを感じさせるモノ作りを望みたい。
プレゼンのあとの質疑応答では、やたら「苦労話を聞かせてください」という類いが多かった。やはり購入しようとするクルマに「ナントカX」のような物語を求めるのだろう。でも実際開発には苦労も多いのだし、直接購入検討者にそれを聞いてもらえる場は貴重だ。今はまだ参加人数こそ決して多くはないが、リニューアルもした事だし、一般化していくと素晴らしい。ひとつ注文としては、あれだけ熱く語られて、すぐにそのクルマに乗れないのが悲しい。販売店に対する配慮もあろうが、火のついた購買欲をすぐに爆発させる効果もあるかもしれず、敷地内にミニコースをつくってもらえればと願わずにはいられない。

AD

MAZDA MPV」への6件のフィードバック

  1. MRYがすっかり様変わりして、随分とよそ行きになってて驚きました。僕は前の雰囲気のほうが好きだったなぁ。
    MPVの初代はちょっと特異な車でしたね。ああいうカタチだったけど、当初目指したのは(少なくとも日本市場では)高級車だった。
    まあ、それが商売上うまくいかなくて途中から路線変更して今に至るといったところでしょうか。
     ホンダもオデッセイ派生車で挑戦してコケましたから、アイディアとしては僕もいいなと思うんですが、ビジネスをやるには結構厳しいのかもしれません。
     しかし今回、質問がツマんなかった(爆)!

  2. 面白い企画ですね。地方でもやってくれればいいのに…ボソッ。
    私も初代のMPVには少なからず衝撃を感じた記憶があります。免許も取れない年(コドモ)でしたが、マツダに見に行きましたもの。あまりにも大味な内装は???でしたけど、アメ車以上にアメリカを感じたな。2代目は値引するクルマっていうイメージでしたね。3代目は仰るとおりで、事実上マツダのフラッグシップですよね。別にV6を積まなくても良いが、もう少し優雅なクルマ作りをして欲しかった。最近ZoomZoomに凝り固まりすぎてるのかな。

  3. kahan氏お疲れ様でした。お互い忙しい身なので、今回はすれ違いのようになってしまって残念です。
    ミニバンは自分では生涯所有することはあり得ないカテゴリーの車ですが、多くのユーザーが求めているのも事実です。でも、MPVのように強力なエンジン&ブレーキを装備すれば「最強ミニバン」が完成!というのはkahan氏の同様「如何か?」と首を傾げたくなってしまいます。

  4. お疲れ様です!
    3代目MPV評価は真っ二つに割れてるようですね、デザインも今までのおおらかさを捨て、ヨーロッパや日本のようなカッチリしたデザインへ変更し、ターボグレードを用意し、これからの「ZOOM ZOOM」を象徴する一台になってしまいました。やはりターボを積むのは、日産やトヨタのパワーウォーズに巻き込まれ、投入したような気がするような気がしないような…3代目MPV私の知人でもMPVのデザインに参加した者がいるので、販売的に頑張ってもらいたいです。

  5. MPV展

    横浜にあるマツダM&Dセンターに新型MPV発表会に行って来た
    うちら車仲間は半ば常連さんになってしまったMRYでの発表会。仲間のオフ会的?ニュアンスも強くなってきてしまった感じもあるのだが、そんなコトも口実に集まるのも楽しいのでYUPAもすっかりレギュラー組。先

  6. だみさん>>
    あんまり採算採算って言うのをマツダから聞きたくないんですが、既にスポーツカーをやってるんですから仕方ないですね。でもMPVがマツダ・プアマンズ・ヴィークルじゃちょっと…。
    newbeetle-cabさん>>
    これは広島でもやってないって言う事らしいんでなかなか厳しそうですね。ラインナップが一巡したらまた違うコンセプトに移るんでしょうか。
    和尚様>>
    こちらこそ逃げ帰ってしまって(爆)すいません。クルマの世界の子供っぽい価値観はまだまだ主流なんでしょうか。凶器を「悪用しないでください」と書いて売っているようにも思えるのですが。
    しょっぱーずさん>>
    とくにマツダは自動車ばかで、クルマ以外の事が見えていないので、価値観の移り変わりなどにかなり疎そうなところが心配です。

だみ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る