確かに當麻寺のご本尊は曼荼羅ですが、仏像がないわけではありません。
それどころか、画像の金堂はもの凄い顔ぶれです。まず「弥勒仏坐像」、 當麻寺創建の681年頃から歴史を見続けてきた白鳳時代の仏像で、曼荼羅信仰が盛んになるまではこれがご本尊様でした。金箔の傷みから、表情がちょっと分かりづらいんですが、現存する最古の塑像というわけで国宝に指定されています。元は三尊形式だったところ、何かしらの理由によって脇侍は失われてしまったそうです。
でも、その代わりに置かれたと言われる四天王像、これが個人的には最も見応えがありました。こちらも古い白鳳時代のもので、最古の乾漆像という文化的重要性もさることながら、その異国情緒あふれる表情が大変貴重です。4体の中で多聞天だけが鎌倉期のものであるためか、または他の理由によるものか国宝指定はされておらず、重文止まりです。異国風だからいい…というわけではないんですが、それぞれの表情には猛烈な何かを感じます。画像を載せられないのが残念です。
ほかにも講堂には平安時代の阿弥陀如来坐像をはじめ、多くの仏像さんが納められており、仏像好きな方にも納得のお寺でしょう。
金堂の弥勒仏坐像、四天王像はそれぞれ最古の塑像、乾漆像でしたが、當麻寺には他にも「最古」とつくものがあります。画像の金堂の手前にある石灯籠、これも最古のものと言われています。素材が凝灰岩で、風化があるためか屋根で保護されており、画像ではちょっと分かりづらいですが、蓮弁の彫刻やエンタシスのある胴が独特です。
さらに、東門近くには最古の梵鐘も存在。 弥勒さん同様、1300年以上前の當麻寺創建当初のものと言われ、国宝に指定されています。ユニークなうえに「最古」やら「唯一」が盛り沢山でほんとうに貴重なお寺であるこの當麻寺、平日とは言えもう少し人がいても良いように思うんですが…。