さて、今回の一発目は播磨の法隆寺と呼ばれる鶴林寺さんです。
奈良、京都、滋賀に続いて日本で4番目に国宝建築が多い兵庫県。とくにこの東播磨を中心に浄土寺、朝光寺、一乗寺、太山寺、そして書写山円教寺と魅力的な古寺が散在していますが、電車で気軽に行ける鶴林寺以外は、いつか弥七で訪れる時にとっておきましょう。
新大阪から新快速に乗って土山駅を通過すると、海側に五重塔が見えてきます。1993年に出来たばかりの圓満寺五重塔ですが、なにやら変な付属品が…。これはなんと非常階段なんですね。
面白いことに平成になってから五重塔の建立件数はかなり多く、その数30基にもなるそうです。今月も高松にある法然寺が落慶法要を営む予定だとか。昔と違って制約が多い中造るわけですから、いろいろと大変なんだろうとは思いますが、それにしても心を癒す五重塔のシルエットに非常階段がついてしまうのはなんとも…。話が逸れましたね。
鶴林寺はJR加古川駅から加古川市のコミュニティバス「かこバス」を利用します。 鶴林寺バス停までの所要時間は8分と短いんですが運転本数があまり多くありません。かと言って歩くにはちょっとメンドクサイ距離。そんな時は東加古川駅行きの「かこバス」も視野に入れましょう。鶴林寺に行くのは別府方面行きですが、途中の「北在家バス停」までは同じルートを通ります。ここから鶴林寺までは歩いてもスグなうえ、加古川駅から北在家までなら運賃が100円で済みます(それ以上乗ると倍の200円)。
1984年までは国鉄高砂線があって、自分も祖母に連れられて乗った記憶がなきにしもあらず。鶴林寺公園にはSL C11が展示されており、なんとなく当時を偲べますが、さほど古い話ではないので「鶴林寺駅」で画像検索すると当時の様子がわかります。ってまた脱線しました。
鶴林寺に到着すると、いきなり立派な仁王門に出迎えられます。ここをくぐって拝観料を納めるんですが、境内に入ってまずその充実した伽藍に驚かされます。正面には太子堂と常行堂を両脇に従えた本堂がそびえ、手前には三重塔もあります。やはり塔は伽藍の華ですね、これがあると全体が引き締まります。
ちょっと屋根がヨレっとしていて、高欄がヘンで、国の文化財指定もありませんが、 室町時代の創建で江戸時代に大修理が行なわれたそうです。その後、1976年に放火による火災に遭い、一部焼失するも1980年に解体修理で復活、苦労を重ねた三重塔なんです。もしかしたら当初は桧皮葺だったんじゃないか…という気もする感じですが、そんな資料はどこにもなく…。
少し長くなったので本堂は次回にするとして、 鶴林寺伽藍でとても気に入った鐘楼を紹介しましょう。鐘楼は室町時代1407年建立のもので、重要文化財に指定されています。袴腰付きで軒が深い上に軒反りがとても美しく、良いたたずまいをしています。しかも、備え付けてある梵鐘も、朝鮮・高麗時代に鋳造されたもので重要文化財。独特の音色なんだそうですが、これは残念ながら聞けませんでした。
なにしろお堂一つ一つのレベルが非常に高く、じっくり眺めていたのでは予定していた1時間ちょっとではとても鑑賞し切れないくらい。ここでの紹介もまた次回に続きます。