スポーティさを真っ向から明快にフォルムで表現してくるアルファロメオというメーカーは今や貴重だ。
今回の2リッターは正直「購入」も念頭において借りてきたものだ。前回の3.2リッターはそれはそれは素晴らしいものだったが、購入という見方をした場合に、燃費の悪い事、左ハンドルな事、そして価格の高い事というどれもが大きなウエイトをもつ理由の為に現実離れしたものとなってしまった。
果たして、この2リッターGTはトータルで3.2リッターを上回れるだろうか。カタログスペックを見る限りで、いいだろうと予想出来るのはまず価格。これは105万円安くなる。もちろんそれに付随する税金等も考慮すればかなりの額になるだろう。そして右ハンドルである事。やはり日本ではハンドルが右についているだけの理由がある。あとは2リッターJTSエンジンは最新の為に排気量と合わせてかなりの燃費向上が見られるであろう事、17インチタイヤを履く為に3.2リッターで落ち着かなかった乗り心地が改善され、またランニングコストも節約出来るであろう事が想像出来る。ただ、3.2リッターでも17インチは選べる。
逆に3.2リットルエンジンの妖艶な吹け上がりを諦めなければならない事と、ミッションがセレスピードしかない事が不安の要素だ。
目の前に現れた真っ赤なボディはかなりまぶしく、アルファらしいと言えばアルファらしいのだが、このGTのフォルムには前回の色の方が似合っているような気がする。
ギアを1にして発進すると、いきなりがっかり。やはり3.2リットルエンジンは良すぎた。このJTSエンジンだってかなりパワフルでスムーズ、いい出来なのだが、あれを一度味わうといかんともしがたい。当然の事ながらトルクも細く、ギア比の関係か、ちょっと扱いづらい場面も。それにやはりセレスピードは馴染まない。こういうメカはサーキットでのタイムをコンマ何秒削って行く為のものであって、ドライビングを楽しむものではないような気がする。シフトダウンがポンポン決まるワインディングはそれなりに楽しいのだが、そんなシチュエーションに出会うのはほんのわずかにすぎないだろう。AT免許ユーザーのためにあってもいいが、MTも選べるようにして欲しいところ。しかもMTならもう15万は安くなるのだから。
3.2 リッターのミシュランに対して、2リッターはピレリP7000を履くが、このせいなのかどうなのか、1インチダウンしたにもかかわらず、以前にもまして足回りは落ち着かない様子。荒れた路面は大嫌い。頭が軽くなったからだろうか?なるほど回答性は若干あがった気がするけれど、トータルで見れば運転して楽しいのはやはり3.2リッターだ。
それにしてもこのコックピット感覚は捨てがたい。とても落ち着くし集中出来る。結論としては3.2リッターは欲しいけれど、現実として2リッターのMTが出れば、およそ420万円くらいになるだろうし、そいつを1年落ちくらいで300くらいなら…やっぱり買えないのであった。そもそも300万円あれば500がどれだけ綺麗になるか…。
私にはやはりフィエスタだろうか。