今回の旅のメインイベントは、厳島神社で行われる「桃花祭御神能」です。
岩国から山陽線に乗って約25分、宮島口駅で下車し桟橋へ。乾久美子建築設計事務所による新たな旅客ターミナルに生まれ変わる宮島口の桟橋は、すでに工事が始まっています。広電の駅も移設されるほどの大規模リニューアル、完成が楽しみです。
この日は父の実家でもある叔父の家にお世話になりますが、まずは名物「あなごめし」で腹ごしらえ、いな忠さんは初めてでしたが美味しゅうございました。
荷物を置いてからさっそく厳島神社へ。「桃花祭御神能と」は神社内にある能舞台で能や狂言を奉納するもので、毎年決まって4月16日〜18日の3日間に渡って行われます。
本物の能・狂言が厳島神社という最高の舞台で行われ、しかもそれが昇殿料の300円で見られちゃうというのですから、こんな素敵なことはありません。全部観たいところですが、今回は2日目と3日目の一部を堪能しました。
神社に着くとご婚礼を挙げられたご夫婦が。幸せのおすそ分けをいただきましたが「桃花祭」だから受け付けませんというわけではないんですね、いずれも神社の日常であり、大切な神事ということなのでしょう。
回廊を進んでいくと、今度は修復工事の様子に出くわしました。海上の社殿ですから、このような不断のメンテナンスおかげで成り立っています。良いものを見させていただきました。
能舞台は当然清盛の時代にはなく、能の奉納は1568年に毛利氏が観世太夫を招いて行われた時だったと言われていますが、この時の舞台は仮設のものだったそうです。その後1605年に福島正則が能舞台を寄進、常設の舞台となりましたが、近隣の松を使ったため傷みが早く、1680年、浅野網長によって舞台と橋掛、楽屋がつくられてほぼ現在の形となったそうです。
桃花祭御神能の際は、写真のように臨時で桟敷席が設えられます。ちょうどいいタイミングで最前列ほぼ正面のお客様と入れ違いで席に着くことができ、かぶりつきで楽しむことができました。
さすがに何時間も座って見ているとお尻が痛くなってくるんですが、座布団は有料だそうで、次回は空気座布団を持参ですね。
能・狂言をキチンとみたのは初めてかと思いますが、前もって演目を調べ、あらすじを予習してきたこともあってかなり楽しめました。自宅には大叔父の作った能面をいくつも飾っているし、実際に演じる方の中にも叔父の同級生の方がおられたりするので、一度東京でもジックリ観てみたいと思います。
それにしても素晴らしいロケーションです。翌日は快晴となったこともあって、海上の舞台がより引き立って見えます。
ここは外国人観光客も相当な数で、多くの方が足を止められていました。伝統文化のアピールにも最高の場所です。
正規の能舞台での観覧の際にはあまりウロウロ動き回ることはできないでしょうけれど、舞台を取り囲む回廊を進むことで、様々な角度から楽しめるのも桃花祭御神能の魅力です。
広島、決して近くはないけれど、今回のようにLCCを使えば多少安くなるし、またここで能・狂言を楽しみたいですね。広島空港は遠いので岩国を使ってみるのもいいかな?本当は「あさかぜ」号で宮島口まで1本がいいんですけども。