有田では至芸を堪能

有田では至芸を堪能

伊万里の大川内山から有田までは割とスグで、クルマで20分程度。

ランチの予約時間まではまだ少し間があったので、今泉今右衛門さんの作品を見に行きます。

2014年、陶芸家としては最年少で人間国宝となった14代今泉今右衛門さん、恥ずかしながら詳しく存じ上げなかったのだけれど、先日、仕事でお知り合いになったインテリアデザイナーの方がなんと同級生で、「ぜひ行ってみて」とのことでした。その方の話によると、以前今右衛門さんは「雪の日に空を見上げて見た美しさを表現したい」と言っておられたそうで、なるほど作品にはそんな世界がとても精緻に描かれていました。

時間になったので歩いて「本陣」へと向かいます。有田の街並みもまたそれなりに風情があるのだけれど、意外に車の通りが多く、数ある焼き物屋さんを見て歩くにはちょっと気を使います。

並行の国道もありますから、ここはせめて一方通行にして、歩道を広げるのがいいように思うのですが、ここも焼物市の時以外はさほど観光客は多くないのでしょうか。

有田焼五膳

さて予約していたのは、地場産の鶏肉や野菜を使った料理が玉手箱をイメージした有田焼の器に盛り付けられているという「有田焼五膳」です。

予約5分前に訪れたものの、出てくるまでに20分かかったのにはちょっとアレでしたが、ご当地らしい楽しいランチでした。

午後はまたちょっと曇ってきてしまいましたが、次に訪れたのは陶山神社です。ここは境内をJR佐世保線が横切っていて、ちょうど前まで来た時に踏切が鳴り出しました。

JR佐世保線

何がくるだろうと思っていたなかで現れたのは、高速軌道試験車のマヤ34が、黒く塗られたDE10(1195、1207)に挟まれたちょっとレアな列車でした…って陶山神社の特徴はこの線路ではなく、陶器製の鳥居や灯篭、狛犬です。狛犬は10代今右衛門さんが奉納したんだそうです。

陶山神社

続いては少し街道から離れて柿右衛門窯へ。さすがに色彩が華やかで、器そのものの形に加えて日本画を見るような楽しみ方もできます。

現在の酒井田柿右衛門さんは15代目ですが、4年ほど前までは14代目がご活躍されていました。残念ながら病気で亡くなられたそうですが、遺作となった「ななつ星in九州」の洗面所に使用された洗面鉢と同じものが飾られていました。

柿右衛門窯

はじめ、立派なショールームの佇まいにちょっと気が引けましたが、自分たちのような、とても買いそうには見えない者でも、とても親切に対応してもらえて、眺めたり、手に取って見たりとゆっくり作品を楽しめました。

井上萬二窯

お次はすぐ近くにある井上萬二窯です。ろくろの神様と言われた井上萬二さんの作品をみられますが、今にも破裂せんばかりにパンッと張った緊張感ある面には驚かされます。こちらも柿右衛門窯同様とても親切な対応で、寄ってよかったと思えるものでした。

実はスタッフの方にお話を伺って初めて知ったのですが、お孫さんの井上祐希さんは、自分の大学、芸術学科の後輩にあたるんですね、と言ってもそれだけのことなんですが、今後はちょっと彼を追ってみたくなりました。

九州陶磁文化館

そのあとは九州陶磁文化館で新旧さまざまな作品を鑑賞、この日見て来た今右衛門さん、柿右衛門さん、井上萬二さん、それぞれの代表作も展示されています。柿右衛門さんの作品はとても好きな感じで、いつかうちの食器棚にも収まってくれるといいですね。

九州陶磁文化館を出たのが16時半頃、まだ日没には間に合うかもしれないと、再び有田の街並みを通って訪れたのは、泉山磁石場です。

泉山磁石場

ここは、有田焼の原料となる陶石の採掘場で、江戸初期に朝鮮人の陶工によって発見、以来近年まで採掘され「400年かけてひとつの山を焼き物に変えた」と言われました。これはなかなかインパクトがあり、時間がなかったら飛ばそうかと思っていましたが、来てよかったです。

伊万里、有田は本当に焼き物の聖地でした。自分のように陶芸にさほど詳しくない者でもかなり楽しめましたし、興味も湧きました。また唐津なんかも絡めて来たいところです。

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