チンクでバタバタしていた頃、自分の体にもちょっとした異変がありました。
ある日お腹がちょっと重く感じたので、何気なくさすってみたところ何やらしこりのようなものが。
「えーっ」と思ってつかんでみようとするも、奥に引っ込んでしまってうまくいかず、不安に思ってネットで調べてみると、もうそのものズバリな症状が載っていました。恐らく、鼠蹊ヘルニア、つまり脱腸です。
歳をとってくると、臓器の隙間が大きくなって、そこから腸がヒョッコリはんだそうで、病気と言うより現象と言った方が合っているような、とくに痛みを伴ったりするようなものでもないのだけれど、厄介なのは「そのまま放置しても治らないこと」と「進行して飛び出た状態のまま戻らなくなるとちとヤバいこと」で、結局は手術が必要だそうです。
このコロナ全盛の時期に…と思いながらも、2日後に控えたワクチン接種との兼合いがわからないので、翌日の8月27日に近くの病院へ。病名は案の定で、ワクチンなどへの心配はとくになく、一旦は畑作業が落ち着く11月頃に手術をすることにしましたが、やっぱりやるなら早い方がいいと思い9月3日に担当の先生とお話しして、とても良さそうな先生でしたので、24日に手術となりました。
鼠蹊ヘルニアの場合、今では内視鏡手術が一般的なようですが、今回は従来の切開とのことで、人生初切腹です。
24日の朝に病院に到着、ひとまず担当の先生に検査していただくところ、何と先日と先生が違う!若い女医さんでしたが、つまりは先日の先生の教え子さんのようです。検査後入院となり、手術は午後からになります。
鎮静剤らしきものを打って、いざ手術室へ、結構なレトロ感漂う手術室で軽く音楽も流れています。そこでまっぱになるわけですが、結構寒いんですね。半身麻酔なので背中から腰椎に麻酔を打たれます。効いてくると何やら気持ちの悪い感触…と言うか感触はないんですが、とにかく嫌な感じです。どうせなら手術中寝てしまって気づいたら終わってる方が楽そうなんですが、意識バッチリのまま始まってしまいました。最初に会った先生が、若い女医さんに何やら教えているような声が聞こえます。
手術中、自分のいびきで目が覚めたので、多少寝ていたようですが、当初言われていた「1時間程度」を結構こえているような感じで、「麻酔が切れてきたらどうす?」などと不安を巡らしている間に終わりました。腸が飛び出してくる辺りをめくって、メッシュを仕込むと言う何ともアナログな手術で、結局講習会のせいか2時間ほどかかったようです。何もわからず待っている妻にしたらきっと不安だったことでしょう。
術後に「もしかするとしばらくはおしっこが出せないかもしれない」ことと「麻酔の箇所から髄液が漏れることもあります」と聞き、「まあ、そう言う人もいるので念のため言っているのだろう。」程度にしか思っていなかったところ、まさかどちらにも見舞われようとは。
おしっこが出ない場合は、カテーテルとなるわけですが「それは避けたい!」と我慢していたところ、これがいけなかったようで、手術翌日の検査で2階病室から1階検査室までの道中が車椅子といえどしんどいしんどい。院長からは「痛がりすぎじゃないの?歩いて来られる人もいるくらいなのに」と衝撃の一言。結局のところおしっこ我慢の結果、膀胱には1リッター近く溜まってしまっており、それが傷口を圧迫刺激していたそうで、有無を言わさずカテーテルで、結局3回お世話になりました。
それ以外は状態も良く、ご飯も「しょっぱ!」と思いながらも全部食べていたんですが、2日目の午後くらいから起き上がると激しい頭痛に見舞われ、夜などはご飯も食べられませんでした。これは退院する3日目になっても変わらず、帰りの車などは妻が一生懸命丁寧に運転してくれているにも拘らず最高潮にメロメロでしたが、これは後で調べてわかったことですが「髄液漏れ」の代表的な症状だったようです。そこに書いてあった通り数日で収まり、あとは傷口が癒えるのを待つだけとなり、1週間後には力仕事は無理なものの、運転はもちろん、普通に生活できるようになりました。
鼠蹊ヘルニアも、右を塞いだら今度は左が…などという嫌な噂も聞きますが、何事も経験といったところでしょうか。かくして人生初の切開手術は終わりましたが、できればもうやらずに済みたいものです。