ミニ・コンバーチブルの登場である。5速MTだ。
ミニのデザインに関しては、その志の点で評価はしていなかった。いくらキッチリ作っていても先代に見せる為だけのものなら必要ないと思っていた。それが、昨年2月のJAIA試乗会で初めてクーパーを見た時に「うーん、それでもビートルよりは10倍いいな」と少し緩み、今回またまた緩みそうな勢いである。ま、別に自分の評価が緩んだところで何がどうなる訳でもないのだが、あれほど意味のない形と思っていたものも、これだけ運転が楽しいと意味のあるものに見えて来てしまうのだ。
予感はあった。JAIAの時にには時間の関係から1~2キロ程度しか走らなかったにもかかわらず、楽しさはすぐに感じ取れるほどのものだったからだ。今回のコンバーチブルは、単なるモデルバリエーション追加だけではなく、追ってメインモデルにも適用されるであろうマイナーチェンジ項目を吸収してのデビューだそうだ。
それにしても、輸入車メーカーは「キャラクター」を仕上げてくるのが実にうまい。このミニにしても、そのデザインと走りがとても良くマッチしている。普段500のV6を堪能している身にとっては4気筒などは…と思いがちだが、その振動や音もキャラにあっていて納得ができてしまう。ま、排気音に関してはちょっと変な音だが、エンジンはとてもスムーズで気持ちがよいものだ。ミッションも気持ちよく決まるが、バックギアに入れる時にギアなりする時がある。それと、コンバーチブルはちょっと重いから(130kg増)ローギアードなのか、角を曲がる時に2速か3速か迷う時があった。
ハンドリングはとても楽しいもので、くいくいとかなりよく曲がる。が、キュッと向きを変えるので横Gの立ち上がりがフォーカスほどではないにしても、唐突にかかってくるような感じがある。ホイールも普通は15インチらしいが、このクルマにはオプションの17インチが装備され、荒れた路面では結構バタつくのと、ハンドルを取られやすい。ただこれらのトリッキーな部分にしてもキャラクターを考えれば納得出来てしまったりする。でも、ミニに17インチはあまり似合わない。でかいホイールを履けば必ずカッコいい訳ではないのだ。あとはこのクルマ、走行中たまにフロントから振動がするが、サスペンション自体の出来はかなり良さそうで、ボディも必要十分。ブレーキも扱いやすく効きも申し分ない。
インテリアでまず気づくのは匂いがやっぱりBMWなこと。あとは結構うるさいインテリアなので飽きるかも知れない。ミニは安心して長く乗りたいという気もするから、このインテリアの味付けに関してはちょっとどうだろう。先代ミニにあった大人のおもちゃ(怪しい言い回しだな)感覚がもうちょっと欲しかったところだ。オープンに関してはもう素晴らしい。開閉は簡単だし、約15秒なので、いつでも開け閉め出来る。ただ、雑誌の評価などをみると調子に乗ってパカパカするとモーターがオーバーヒートしたりするらしい。トップの色が濃紺で黒ではないところがニクい。
これに乗ってると、やはり自分は小さいクルマが好きなんだなあと思う。最近の小さいクルマはユーザーフレンドリーばかり考えて座面の高いものが多いが、ミニはそんなことなく、運転を楽しむクルマを作ろうとした事が理解出来る。各部の品質感は決して高くないが、全体に漂うこのカジュアルな感覚が、すぐに連れ出せそうな気にしてくれるし、そういう意味ではマツダ・ロードスターが失ってしまいつつあるものかも知れない。初代ロードスターもそんなところがあったからだ。
さあ、これで269万円か。デザインポリシーは少し気になるが、欲しいクルマがまたひとつ増えてしまった。
ミニ・クーパー・コンバーチブル
全長/全幅/全高(mm):3650/1690/1415
ホイールベース(mm):2465
重量(kg):1270(クーパーは1140kg)
エンジン:1.6リッター4バルブSOHC
最高出力(kw/rpm):85/6000
最大トルク(Nm/rpm):149/4500