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アルファロメオGT 3.2

とても華のある車が来ました。アルファロメオGTである。
これほっし~~~~~~~~~~
その車はすでにエントランスに用意されていた。美しいボディにこれまた美しいアマルフィライトグレーというカラーの塗装が施されている。
146や156などのパーツの寄せ集めというイメージからそれほど感激するものでもないと思ってはいたが、なかなかどうして、そのボディの放つ空気はスポーティでありながらエレガント。例えばRX-8などと比べた場合に8が子供のオモチャに見えてしまうほどのものなのだ。

顔こそちょっとくどいけれど、ボディ各部の面は張りがありながらも柔らかさを感じさせ、ドイツの車とはまた違った印象を与える。特徴的なサイドのくぼみも破綻なくキャラクターラインをひきたて、存在感をアピールしている。
鍵を渡され、右から乗り込もうとして苦笑い。これは左ハンドルなのだ。元々親の車が左ハンドルだったがほとんど運転はさせてもらえず、友人の156左ハンドル車が最近の経験に過ぎないためかなりの緊張。乗り込んでみても車幅がよくわからない。方向指示器をだそうとしてワイパーを動かしてしまう様な事はないが、シフトチェンジをしようと左手がつい空を舞う。取りあえず敷地からは出たが、すぐに停車して各スイッチの機能などをチェック。タンの本革が奢られた内装は146のそれとあまり変わらないはずのインテリアを別物なくらいに高級感を与えてくれているようだ。
シート位置は低く設定され、コックピットに埋もれた感覚が心地よい。メーターフードの形状なども156から見なれたものではあるが、こうして低いシートに収まってみるとなぜかより一層しっくりと来る。それにしてもこのシート、156同様レカロだろうか?かなりかけ心地がいい。
さて、いよいよ走り始めるが、1速に入れるギアの感覚もなかなかいい感触、500に比べたら10倍くらい重いけれど適度なクラッチを調節しつつ発進。意外と簡単。運転上の操作は500よりもかえって気を使わずに済むほどだ。そしてアクセルを踏み込む。ここでいきなり鳥肌が立つ。「な、なんだこのエンジンは!」妖艶と言おうか、なんといおうか、こんなエンジン初めてだ。
大して期待はしていなかった。大磯での試乗の際、156の2.5リッターV6を試した時にはあまりいい印象がなかったからだ。よほど直4の方が機敏で、パワーも十分だった。しかし、3.2リッターモデルは左ハンドルしかなく失敗したかなという気持ちは一気に吹き飛び、このV6を味わい尽くす事ばかりを考えた。スムーズなエンジンはBMWをはじめ他にもある。しかしこれほど、スムーズでパワフルな上に、色気のある吹け上がりは初めてだ。加速の気持ちいい事気持ちいい事。もちろん音も素晴らしい。
日を変えて、裏に持込む頃にはすっかり左ハンドル右手シフトにも慣れ、思い通りに走らせる事が出来たけれども、やはりこのクルマの性格は明るい。運転していてこちらも思わずにやけてしまうほど。中速コーナーはとくに気持ちよく、無粋なアンダーステアはいっさい発生しない。
悪い所をあげ始めるとそれはそれで色々あって、まずは回転半径がばかでかく、Uターンはかなり気を使う。これは6速ミッションによるところもあるだろうか。視界も悪くAピラーは邪魔だし、後ろは全然見えない。車庫入れは難儀だ。
また、240馬力ものパワーのFFのため、低いギアーで踏み込んだりするとトルクステアも決して小さくない。オイオイどこいくの~というの感じだ。ハードブレーキング時の姿勢もまた完璧でなく、ブレーキフィールそのものも大きさの割にもうひとつ。やはり安心感で言えばドイツ車の方が上で、絶対スピードも高い。しかし楽しさはこちらがはっきりと上だ。3.2リッターモデルは18インチタイヤを奢られているが、スムースな路面ではかなりいい乗り心地を示す。ただ、路面が荒れるとてきめんにバタつき、接地感も希薄になってしまう。2リッターと同じ17インチの方がベストマッチングかも知れない。それでもこれらのネガがどうでも良くなるくらいにエンジンとミッションが気持ちいい。
アルファGTはハッチバックなこともあって、使い勝手もいいし、ヒジョーに欲しいモデルだが、買うなら予算もあるしバランスの良さそうな2リッターかなと思っていたが、このエンジンは欲しい。ホントに欲しい。
燃費はリッター8~9キロくらいのようで、良くもないが悪くもないところ。
最後に音質。標準でBOZEのセットがついているが、とりたてていいものではない。バランスはそこそこだが音色は最低限度合格ラインと言った所か。
もっともこのラインに到達しているモデルはかなり少ないのだが…。
このモデルは欲しい。でも予算的に無理だし、中古でもかなり高いだろう。2リッターも是非乗ってみたい。

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