酒井抱一生誕250年の今年、各地で抱一を中心とした琳派展が予定されています。
その手始めとして、出光美術館の「琳派芸術」と畠山記念館の「酒井抱一 琳派の華」に行ってきました。出光のは2部に分けて企画され、俵屋宗達や本阿弥光悦など琳派のルーツを中心とした第1部「煌めく金の世界」は1月16日に鑑賞済み、今日は抱一が主役の第2部「転生する美の世界」です。
出光のは2部ともかなり見応えのある内容で、図録もシッカリ買ってしまいました。早い話が全部良かったんですが、第1部の宗達の扇面を貼付けた2つの屏風が最高でした。どちらも宗達ワールド全開で、とても楽しく見飽きません。ワールド全開と言えば第2部で展示された、内裏雛の背後に飾る小さい屏風「四季花鳥図屏風」も、あの小さなサイズの中に抱一ワールドがたっぷり緻密に詰め込まれていて楽しいものでした。あとは、抱一の代表作である「夏秋草図屏風」の下絵が展示されていたんですが、これほど詳細な下絵が存在するものなのかと驚かされました。
高輪台にある畠山記念館はずっと行ってみたいと思いながら、なかなかチャンスが巡ってこなかった美術館。今回念願かなって…と言うわけですが、素晴らしい美術館でした。入口から庭、館内とすべて手入れが行き届いていてすがすがしく、美術館全体から「ぜひ素晴らしい作品を楽しんでもらいたい」という気持ちが伝わってくるような感じです。 美術館の環境や成り立ちによって色々とあるのでしょうけれど、細見や根津では全く感じられなかった感覚です。
展示作品も素晴らしいものでした。とくに良かったのは「十二ヶ月花鳥図」のなかの10月と11月でしょうか。情景がリアルに迫ってくるような描写が忘れられないものとなりました。琳派の中でも「粋」な性格をもつ抱一だけに十二ヶ月花鳥図シリーズは彼の特徴が最も良く表現されているものじゃないかと思います。以前、大琳派展でもファインバーグ蔵のものを見ましたが、なにしろ現存するものは全部見たいですね。
今年は千葉市美術館でも何やら企画があるそうで、琳派ファンとしては楽しい1年になりそうです。
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