AJAの謎

先日、阿佐ヶ谷のY氏宅で夜中の1時半まで、何をしていたかと言うと・・・。


前からおかしいおかしいとは思っていた。自分の持っているAJAのオリジナル(と思われる)の品番は”AA-1006″なのに、たまに書物やサイトで紹介されているものをみると”AB-1006″になっていることがあるからだ。AJAをリリースしたABCレコードは、AJAが出たスグあとの79年にMCAレコードとなったため、自分は単純にABCのラベルであれば、オリジナルだと思い込んでいたのだが、実はそうではなかったのだ。

今回の事の発端は、所有していたAJAの米盤(以下、K旧盤と呼ぶ)の状態が、もう1枚持っている国内盤に比べてもイマイチだったので、ヤフオクで再度米盤を購入した事からだった。

届いた2枚目の米盤(以下、K新盤と呼ぶ)を見て、品番はK旧盤と同じAA-1006なのだが、まず驚いたのはジャケットのコーティング具合がかなり違う事。K新盤の方がテカり度が高く、よりコーティングらしいものとなっているのだ。また、ジャケットの印刷にしても、K旧盤は「AJA」の文字などの赤い部分がウジャウジャとこまかいまだらになっているのに対し、K新盤は普通にベタできれいな状態。そしてもっと驚いたのはK新盤の方が断然音がいい事。クリアでヌケが良くて、残響音などに違いがはっきりと現れている。これはK新盤の方がオリジナルプレスに近いと言う事なのだろうか?

しばらくして阿佐ヶ谷のY氏から「アメリカ出張の時にAJAのAB-1006を買ったんだけど、AAより断然音がいいよ!」などというメールがきた。やはりAB盤は存在していたのだ。まあ、資料がある以上存在しているとは思ったが、AAとABなら単純にAAの方がオリジナルなんだろうと思っていたので、逆の現象にビックリ。自分のAA同士でも音が違うのにABは更にその上を行くと言う事なのだろうか。

というわけで、先日大渋滞の中を阿佐ヶ谷まで行って来たわけだ。まずはお互いのAJAを出し合うと、なんと7枚もの同じジャケットが並ぶ。まさに変態行為。そして問題のAB盤を見せてもらうと、これがまたウルトラきれいなコーティング。K新盤よりも更に美しいだけでなく、ジャケットの作りこみも細かいところで違っている。共にダブルジャケットなのだが、AB盤の方は折れ目のところの処理が折れやすいように切り込みを入れてあり、まさにオリジナルらしい佇まいを見せる。これだけで音質に関してもかなり期待できそうだ。

とりあえずY氏のAA盤を聴いて、次にAB盤をかける。思ったとおり断然AB盤の方が素晴らしい。このAA盤は自分のAA盤、つまりK旧盤とほぼ同じ音質のようだ。次に、気になる自分のK新盤とY氏のAB盤を比較。うーん、ちょっと差が分からない。ジャケットだけ見れば、AB盤の方がよりオリジナルに近い事は一目瞭然なのだが、音に関しては結局決定的な差を見つけられなかった。小生のK新盤はABからAAへの過渡期のもので、レコード盤自体は同じだが、ラベルとジャケだけが新しいものにされたと言う事なのだろうか。いやいや、レコード盤が同じなら、盤に刻まれたマトリクスも同じはずだが、そこは違っている。では製造工場の違い?そもそもAA盤同士で音がこれほど違うのはどういうわけ?と謎は深まるばかり。

さらに不可解な事に、Y氏がアメリカで買った際、同じ店にAJAは何枚かあったと言う。そこで1番安い5ドルのものを買って来たらしいのだが、状態はジャケ、盤ともにかなり良く、では今回見送ったものがなぜ10ドルもの高額が付けられていたのか。一体何が違うと言うのだろうか?よりオリジナルに近いものがあると言うのだろうか。

今回の比較を終えてからちょっとネットを調べてみると「microgroove.jp」というサイトがあって、そこのマスターはなんと5枚も所有(爆)されており、比較をしていた。そこを参考にすると、今回自分たちが差を感じられなかったK新盤とAB盤に関しては、やはり若干の差異があるらしい。よってY氏のAB盤は(ほぼ)オリジナルと断定しても良さそうだが、なにしろアメリカで高い値段をつけていた盤が気になる。これはY氏が次回アメリカ出張時にぜひとも買って来てもらうと言う事で、しばし持ち越し。

オリジナルとかセカンドとか、プレスによる音質の違いは、いわば全てのLPに存在しているわけで、いちいち同じものを複数枚購入し、比較試聴するのはちょっと変態行為に思えなくもないが、なにもあらゆるLPでやるつもりはなく、そこはやはりSTEELY DANのまたさらにAJAということで、よりよい音質で聴いてみたいものなのだ。それだけ多くの側面で最高峰に位置する作品だから。

そうそう、今回ついでに比較試聴した国内盤、モービル盤に関しては、まったく問題外。K旧盤にも遥かに及ばない事を付記しておこう。

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