今日は「ボストン美術館 浮世絵名品展」を観に、千葉市美術館へ行ってきました。
所蔵している浮世絵の質の高さと、膨大な作品数から「浮世絵の正倉院」とまで言われるボストン美術館のコレクションが公開されるのは2回目。残念ながら1回目に行くことはできなかったんですが、今回は「錦絵の黄金時代」として、おもに鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽の18世紀末の作品にスポットが当てられ、250点以上が展示されました。このあたりの作品を観ることはこれまで意外と少なかったので、とてもいい機会です。
正直なところ、写楽の作品たちにはもうひとつピンと来なかったんですが、清長や歌磨呂はとても良かったです。どちらも当時の風俗がとてもよく描かれていて、清長の「子宝五節遊」シリーズは思わず顔がほころんでしまいました。人物画の自分なりの評価というか好みは、当時の風俗がよく描かれていて、女性の着物の柄や色が美しくてかつ表情が豊かなもの…なんですが、歌磨呂の「五節句」などはまさにパーフェクト、各節句の風習に加えて季節ごとの着物の違いも楽しめてしまう逸品でした。
その他の絵師たちの作品も存分に楽しめるもので、歌川豊国の「調布の玉川」などは尾形光琳を彷彿とさせる大胆な構成で度胆を抜かれました。光琳の「紅白梅図屏風」の方が90年ほど早いんですが、豊国は見たことがあったんでしょうか?
それにしても、毎度の事ながらこれだけの素晴らしい展覧会を開催してくれる千葉市美術館には本当に感謝です。今回は神戸や名古屋、仙台と一緒に東京の山種美術館でも開催する上で千葉でも…と言うわけですから凄い。秋には酒井抱一の展覧会も予定されており、いち地方美術館とは思えない様相ですが、これには現在の館長さんの功績が大きいそうなんです。でも、その館長さんも実は今年限りなんだそうで、今後も同じような催しが続けられるのか…今からちょっぴり心配。