DC不振でF1の話題を書く気になれずにいたけれど、ここいらでスーパーアグリの撤退について…。
何しろF1らしからぬ爽やかな存在感で、応援していただけにとても残念。と同時にファンの勝手な思惑ではあるけれどホンダの中途半端な態度には許し難いものがある。だって参戦の時は「全面支援」のような態度でホンダ本社を使って発表したくせに、撤退の時は「知らん顔」の別会場、出されたコメントもまるで他人ごと。ま、ホンダと一口に言ってもイロイロあるんでしょうけれどね。
撤退の発表以降、あまり新しい情報はないんですが、これまで見聞きしたものはその信憑性は別としてこんな感じです。
まずスーパーアグリの設立自体は、いくらホンダが否定しようと、琢磨を解雇したことに対する批判をそらすためだったのは間違いないそうなんですが、驚いたのは、これはポーズだけにしたかったという話。要するに、ホンダは「琢磨がF1を続けられるように新チームをこさえようとしたけれど、時間が足らずにダメでした…」というのが理想だったということらしい。なので、2006年開幕戦のグリッドに並んでしまったのは、ホンダにとって実は想定外のことで、そこからいかにしてチームを収束させるかに腐心していたと…。のけぞりますねー。
でも考えてみれば、チーム監督に鈴木亜久里を選んだのも良い人選と見せかけておいて、亜久里はお人好しで、頭のキレるというタイプではなさそうなので、F1チームの世界ではダメだろうとの計算の上だったのかも知れない。
しかし2007年、前年に好調だったホンダのシャシーを手に入れて大活躍、新型が失敗作だった本家をシーズンのほとんどに渡ってリード。これによってSAF1の好調が想定外だったホンダと、SAF1の存在に難色を示し続けているHRF1のCEOニック・フライの思惑が一致、いよいよ水面下で潰す計画が進んでいたのかも。
2008年のドライバーラインナップとして、鈴木亜久里はインドマネーを持つカーティケヤンと契約しようとするが、フライの横やりもあってお流れ、その後契約寸前で態度を急変させたマグマグループにしても、フライの紹介だったと聞けば、シナリオ通りだったのかと思わずにいられないし、代わりに交渉を始めたヴァイグルグループにもまた難色を示して結果的に時間切れに持ち込んだのもまたしかり。最後にはSAF1がイスタンブールパーク・サーキットに入るのを断られて立ち往生、その欠場指示の出処を辿ればフライ氏だったというから、なぜそこまでフライに権力があるか疑問に思うし、それは結局のところホンダの意志なんだろうと。そうすると、SSユナイテッドというペーパー企業を電通を通じて関わらせたのも、あやしい証券会社に狙わせたのも結局は…。
まあ、これらの話はネット上に転がっていたのを集めただけなので、どこまで事実なのか分からないし、とりあえずそういう陰謀めいたものは置いといて、冷静に考えると、カスタマーシャシーに関するレギュレーションの二転三転などにより、いずれにしてもSAF1の存続は危なかったようにも思う。まあそれでもホンダに対する「中途半端なことはするな」という気持は同じだが、でも元を辿れば、そもそもBARが好調だった2004年、琢磨がもう少し速くて、もう少しキチンと結果を残していれば…という気もしている。しかるべき時にしかるべき結果を残さなかった以上、これはもう仕方ないかなと。
もう20年以上日本人ドライバーの活躍を夢見ていたが、今後も難しいかも知れない。一時期日本人がF1で活躍できない理由について、日本人は農耕民族だから云々という説を見かけたことがあるけれど、思うにそう言うことではなく、単純に数の原理だと思う。甲子園で出場校の多い県の代表が強いことが多いのと同じで、モータースポーツにチャレンジする人の数が少ないことが理由でしょう。で、それが今後多くなるかと言うと、様々な理由からF1そのものの魅力は減少していくと思われるので、難しそう。期待はしているんですが、何事にも旬と言うのはあるものですネ。